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3.1 ニューロンの構造

   figure36
図 3.1: ニューロンの構造

ニューロン(神経細胞)とは、一般に図3.1に示すような形をした細胞である。 神経細胞は、外見的に、細胞体、樹状突起、軸索の3つの部分に分けられる。 細胞の中央部分にあたるのが細胞体であり、細胞核はこの中にある。 タンパク質など細胞の活動に必要な物質は細胞体の中で合成され、 特殊な輸送機構により細胞内のすみずみにまで送られる。 樹状突起は、細胞体の表面から突き出た多くの枝分かれをもった突起を指していう。 人間の中枢神経系の細胞では、通常、1つの細胞体から数十の樹状突起が出ている。 軸索は、細胞体からほぼ一定の太さで長く伸びた1本の突起で、途中で数多くの枝分かれをもっている。 一般に、この軸索は神経線維と呼ばれている。 軸索には、ミエリン鞘と呼ばれる絶縁性のさやで包まれた有髄神経線維と、 ミエリン鞘をもたず細胞膜がむき出しになっている無髄神経線維とがある。 神経細胞の形状や大きさは細胞によって大きく異なり、例えば、末梢へ出力を出している運動細胞は、 脳内で局所的な回路を構成している神経細胞に比べてはるかに大きい。 [3]

枝分かれした軸索の終末は、ボタン状の膨らみを作って、他の神経細胞の細胞体ないし樹状突起に付着している。 この付着している部分をシナプス(synapse)という。 軸索は10から数百に分岐しており、シナプスを介して数多くの細胞につながっている。 また、1つの細胞が受けるシナプス結合の数は、数百ないし数千、まれには数万に及ぶ。



Deguchi Toshinori
1996年10月29日 (火) 11時21分05秒 JST