next up previous contents
Next: ニューロン Up: ニューラルネットワーク Previous: ニューラルネットワーク

ニューラルネットワーク研究の背景

コンピュータは脳の持つ情報処理能力を人工的に実現しようとしたものである。 したがって脳研究や神経回路網の研究はコンピュータ研究と歴史的にも密接な関係がある。 しかし、1960年後半から、ミンスキー(Minsky)らによって、パーセプトロンの能力の限界が証明されたことによってコンピュータ研究と脳研究は離れていった。 一方、コンピュータ研究はノイマンやチューリングらによって示された、アルゴリズム原理に基ずくプログラム内蔵の直列逐次情報処理方式のシナリオに従って、脳研究とは無関係に大きく発展していった。

このようなコンピュータ発展と認知科学研究が結び付いて、脳の情報処理メカニズムとは全く異なる形で、``人工知能''(AI:Artificial Intelligence)が実現された。 しかし、ノイマン型の直列情報処理コンピュータの急激な発展に伴って、その問題点も顕在化する。 すなわち、コンピュータの能力が中央処理装置(CPU:Central Processing Unit) を用いた逐次処理速度で制限されるノイマンのボトルネックおよび、コンピュータの複雑化や社会への急激な普及にソフトウエアの開発が間に合わないソフトウエアの危機問題である。 さらに、直列情報処理が、パターン認識や知識情報処理などに、本質的に適さないという疑問も出てきた。

直列情報処理コンピュータの問題点の顕在化に伴って、直列情報処理の戦略を見直し、新たに異なる発想で、並列情報処理コンピュータを作ろうとする動きが出てきた。 これを背景に、脳における情報処理メカニズムにヒントを得て、ニューラルネットワークの研究の開化となった。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月22日 月曜日 11時57分15秒 JST