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2.4 ニューラルネットワークとエネルギー関数

  神経回路網において、状態が時間とともにどう移り変わっていくのかを 調べる方法として、エネルギー関数を用いたものがある。

ホップフィールド(Hopfield)らによって、 対称的なシナプス結合 tex2html_wrap_inline1145 を持つ ニューラルネットワークにおいて、エネルギー関数が存在して、 ニューラルネットワークはこのエネルギーを 減少させるように動作することが示された[1]。

このニューラルネットワークの振舞いは図 2.6 に示すように、 一種の山下り法(最急降下法)で、なめらかな凹凸を持つ曲面上を 転がるボールの動きと同様であり、最終的にはエネルギーの谷である 曲面のくぼみ(図 2.6 の極小値 A や点 B)に到達する。

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図 2.6: エネルギー曲面

エネルギー関数がどのような形状を持つかは、素子間の結合荷重分布などの ニューラルネットワークの構造によるが、一般に、 エネルギー関数は多くの極小点を持つ多安定関数になる。 たとえば、各極小点を記憶の内容と考えると、ボールが斜面を転がる過程は、 記憶の内容を思い出す(相起)過程と考えることができる。 このような連想記憶メモリの検索時間は、記憶数によらず一定であり、 高速の読み出しが可能である[2]。



Deguchi Toshinori
Mon Feb 19 18:58:08 JST 2001