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5.4 考察

先の実験で用いたネットワークの構造に 反転パターンを検出する機構を追加することで、 特徴を変えることなしに検索成功率を100% にすることができた。

5.4 のグラフや 図5.5 のネットワークの出力結果から、 ステップ数がt=63のあたりで、 ネットワークは反転パターンを出力しており、 従来の場合、 2列目のパターンの額のあたりの白い部分を抽出してしまうため、 間違って別のパターンに収束してしまうが、 反転パターンを検出する機構を取り付けた場合は、 t=53のあたりから、 反転パターンを検出して、強制的にシナプス前抑制が行なわれて、 反転パターンで収束することなく検索が続けられている。 よって、 先の実験で、 反転パターンに収束して 検索成功率が100% にならなかった特徴でも、 反転パターンを検出する機構を取り付けると 検索が100% 成功するようになることが分かった。

次に、 先の実験で100% 検索が成功した特徴を使って、 新たなネットワークで検索を行なったが、 ほとんど影響がないか、 場合によっては検索にかかる時間(スッテップ数)が多くなってしまう結果となった。 これは、 反転パターンの検出を行なうことによって、 検出を行なわない場合では、 正しく収束する場合であっても、 場合によっては、 誤って反転パターンと認識し、 シナプス前抑制が解除されずに動的想起を続けることがあるため、 検出を行なわない場合に比べて余計な時間、検索が続けられる。 つまり、 入力した特徴で十分検索成功率が100% になるような場合では、 本研究で用いた方法の反転パターンの検出を行なうと、 結果としてしなくても良い検出を行なってしまい、 検索速度が遅くなってしまうと考えられる。

以上をまとめると、 反転パターンを検出する機構をネットワークにとり入れることによって、 他のパターンとはっきりと区別できている特徴で 反転パターンに収束してしまう場合においては、 最終的な検索成功率を100% とすることができる。 しかし、 入力した特徴のみで検索成功率が100% となるような場合では、 検索成功率が100% となることに変わりはないが、 検索成功までの速度という面では、 反転パターンの検出という余計な動作を後から付け加えたことによって、 遅くなってしまうというデメリットもあるということが分かった。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000