next up previous contents
Next: 5.4 考察 Up: 第5章 追加実験 Previous: 5.2.2 反転パターンの検出

5.3 結果

5.2 に反転パターンを検出する機構を取り付ける前と後の 検索成功率のグラフを示す。 なお、 グラフの凡例で `pattern2'となっている方が反転パターンを検出する機構を取り付ける前であり、 `pattern2+'となっている方が取り付けた後のグラフである。

グラフを見て分かるように、 反転パターンを検出する機構を取り付ける前は、 検索成功率は90% ぐらいでほぼ一定となってしまっているのに対し、 取り付けた後では、1200ステップぐらいで100% となり、 全ての場合において検索が成功するようになった。

次に、 出力パターンから抽出した特徴と入力パターンの特徴を 似ている割合を示したグラフを図5.3 に示す。 反転パターンを検出する機構によって、 反転パターンを検出したときは、 強制的なシナプス前抑制を行なっているため、 反転パターンのときの相似率は0% となっている。 このグラフでは分かりづらいが、 図4.7 の失敗したときのグラフがt=70のあたりで 検索が終了したのに対して、 取り付けた後では、 反転パターンを検出する機構が働いたため、 t=70のあたりで収束せず、 検索は続けられ、最終的に目的のパターンへと収束した。

4.7 のグラフに、 図5.3 の横軸の範囲を狭くしたグラフを重ねたグラフを 図5.4 に示す。 反転パターンを取り付けた後のグラフの方で、 相似率が0% になっているところが、 反転パターンの検出によって、 強制的にシナプス前抑制を行なっているところである。 図5.4 のグラフで、 前半の反転パターンでない部分は、 取り付ける前と後で変わりがないことが分かる。 そして、 t=60以降で、 相似率に違いが現れはじめていることが分かる。

5.5 は、 反転パターンを検出する機構を取り付けたときの出力結果で、 図4.6 と同じステップ数の範囲を示している。 図4.6 と図5.5 を比べると、 t=63までは出力パターンは同じであるが、 1ステップ進んだt=64では違うパターンが出力され、 それ以降、出力は変化している。 t=63の出力パターンは、 明らかに反転パターンであることが分かるので、 反転パターン検出機構を取り付けた後の場合については、 シナプス前抑制が強制的に働き、 動的想起が続けられるため、 t=64では違うパターンが出力されたと考えられる。

また、 図5.4 のグラフで、 t=60以降、相似率に違いが現れはじめた理由は、 図5.5 で、 t=64以降は違うパターンが出力され続けているからである。

次に、 ネットワークの比較のため、 先の実験で100% 検索が成功した特徴で、 この 反転パターンの検出機構を取り付けた 新たなネットワークで検索を行なった。

5.6 は、 3列目のパターンについて、 反転パターンの検出を行なわない場合と 行なう場合についての検索成功率のグラフである。 なお、 グラフの凡例で `pattern3'となっている方が反転パターンの検出を行なわない場合であり、 `pattern3+'となっている方が検出を行なう場合のグラフである。 この図を見て分かる通り、 反転パターンの検出を行なわない場合と検出を行なう場合とでは、 それほど変化に違いが見られない。 それどころか、 検出を行なった方が、 多少 検索成功率が下がっている傾向が見られる。

5.7,5.8 は、 3列目のパターンについて、 反転パターンの検出を行なわない場合と行なう場合のそれぞれの ネットワークの出力結果である。 これらの図から、 反転パターンの検出を行なった場合では、 ステップ数がt=40のところで、 上部の両すみが黒くなっているため、 反転パターンではないのに 誤って反転パターンとして検出してったため、 余計に検索に時間がかかってしまっている。

5.9 に相似率の比較のグラフを示す。 tex2html_wrap_inline1205 のときに、 反転パターンの検出を行なわない場合は、 シナプス前抑制が解除されて自己想起状態へと移行し、 目的のパターンに収束している。 反転パターンの検出を行なう場合は、 誤って反転パターンと認識して、 シナプス前抑制は解除されず動的想起を続けるため、 検索終了までに余計な時間がかかってしまっている。

   figure315
図 5.2: 反転パターンの検出機構を取り付けたときの検索成功率

   figure322
図 5.3: 反転パターンの検収機構を取り付けた時の特徴の相似率

   figure329
図 5.4: 相似率の比較

   figure336
図 5.5: 反転パターンの検出機構を取り付けたときの出力

   figure343
図 5.6: 反転パターンの検出を行なわない場合と行なう場合の比較

   figure350
図 5.7: 反転パターンの検出を行なわない場合

   figure357
図 5.8: 反転パターンの検出を行なう場合

   figure364
図 5.9: 相似率の比較



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000