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ユーザテストとは、被験者がタスク(課題)を実行する過程を観察し、
被験者の行動、発話からユーザインターフェース上の
問題点を発見する評価手法である。ユーザビリティテストとも言う。
ユーザテストでは、5人の被験者でユーザビリティ問題の85%を
発見できることが明らかになっている。
(Nielsen, Jakob, and Landauer, Thomas 1993)ユーザビリティを向上させるには、
何十人も一度にテストするよりも、
5人程度の小規模なユーザテストを繰り返した方が効果がある。
ユーザテストを実施するには、
ユーザビリティ・ラボ、モニター、ユーザビリティ・エンジニアが必要である。
- ユーザビリティ・ラボ
マジックミラーで仕切られ、防音を施された専用室。
マジックミラーを通して被験者の行動や発言を観察することができる。
また、被験者の行動や発言を撮影・記録するためのビデオ設備も完備している。
なお、ウェブユーザビリティのテストでは、
インターネット接続環境も必要となる。 - モニター
テストに協力してくれる被験者データベース。
ユーザテストでは、想定ユーザと
同じ属性(性・年代・パソコン習熟度など)を持った被験者に
協力してもらわなければならない。
適切な被験者を抽出するには、かなりの数のモニターを管理する必要がある。 - ユーザビリティ・エンジニア
ユーザビリティ・エンジニアはテストを設計し、
インタビューを行い、データを分析する。
ユーザビリティ・エンジニアは単にユーザテストを担当するだけでなく、
他の技術者やデザイナと協力して、ユーザインターフェースの改良にあたる。
正規のユーザテストではなく、
簡易型のユーザテストでも、おおよその問題点は発見できる。
ユーザビリティ・ラボの代わりに会議室を、
モニターの代わりに知人や同僚を、
ユーザビリティ・エンジニアの代わりに開発チームメンバーを用いれば、
コストを大幅に削減できる。
ユーザテストの基本フローは以下の通りである[2]。
- イントロダクション:調査趣旨説明、調査協力同意など
- 事前インタビュー:属性、一般質問など
- タスク実行観察:被験者にタスク(課題)を提示し、その実行過程を観察しながら、適宜インタビューを行う。
- 事後インタビュー:感想、良い点、悪い点、再利用意向など
- エンディング:謝礼支払など
Toshinori DEGUCHI
2004年 3月24日 水曜日 15時55分02秒 JST