next up previous
Next: 3. 実験結果および考察 Up: ニューラルネットによるカオスアトラクタの学習 Previous: 1. はじめに

2. ネットワーク構造及び学習法

本研究で用いたネットワークは図1のような構造となっている。 ある時間での出力層の出力は次の離散時間の入力となる。 入力層、出力層の素子の数は8個、中間層の素子の数は50個とした。 中間層の素子の出力関数はシグモイド関数、 出力層の素子の出力関数は恒等関数である。 これがループすることによってアトラクタを描く。 学習の手順としてはバックプロパゲーションを用いた[2]。 これはある入力に対して出力がなされた時、 その出力と望むべき出力とを比較し、望むべき出力がなされるように ネットワークの重みとしきい値を変化させる方法である。 ここでこのネットワークにおいて注目すべき点は素子の数が 教師信号の数よりも多いということである。 出力層において一番目の素子にはアトラクタのxの値を学習させるために 教師信号として与え、二番目の素子はyの値を与えるが その他の6個の素子には教師信号を与えない。 このように教師信号を受けとらない素子を作ることによって 「現在どちらのアトラクタを学習しているか」 という情報を持たせることができる。 では教師信号を受けとらない素子は どのように学習するのかを述べる。 図2で時間tにおいてある入力に対して出力がなされた時、 まず、教師信号のある素子のみを使って 中間層の重み、しきい値などを付けかえる。 そして中間層への出力が望ましいものとなるように入力層も学習させる。 ここで時間tでの入力層とは時間(t-1)での出力層となっているから、 教師信号のない素子だけを対象に入力層の重み、しきい値も付けかえる。 このような手順により教師信号を受けとらない素子の学習が可能となる。 この方法で三百回毎に二種類の教師信号を切替えつつ学習させる。 ただし教師信号を切替えるときは、重みとしきい値を変化させずに 五回ほどループさせてから学習させている。

   figure29
図 1: ネットワークモデル

   figure36
図 2: 学習法



Deguchi Toshinori
1999年04月27日 (火) 19時39分12秒 JST