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ニューロンモデル

  神経細胞の機能をモデル化したものをニューロンモデルと呼ぶ。 神経細胞の機能を一言で表わせば多入力-1出力の非線形素子となるが、 そのモデルは定性的で単純なモデルから、 現実の生物のニューロンに近い定量的で複雑なモデルまで、多くのものが有る。 ニューロンモデルの中で単純かつ興味深いモデルとして、 1943年にマッカロ(W.S.McCulloch)とピッツ(W.Pitts) が提案した物を図 2.2 に示す。

   figure27
図 2.2: ニューロンモデル

今、図 2.2 のように1つの神経細胞が n 個の細胞から 入力を受けているとする。 シナプス前細胞の出力を tex2html_wrap_inline1584 、 それぞれのシナプスの結合の強さを tex2html_wrap_inline1586 と表すと、 i 番目の細胞からの影響は、 tex2html_wrap_inline1586 tex2html_wrap_inline1592 と表される。 このシナプス結合の強さを結合荷重と呼ぶ。

そして、各細胞からの影響 tex2html_wrap_inline1586 tex2html_wrap_inline1592 を加算したもの ( tex2html_wrap_inline1598 tex2html_wrap_inline1592 )が細胞の入力になり、 この和がしきい値 tex2html_wrap_inline1602 を越えた時に細胞が興奮する。 さらに軸索は減衰のない伝送路であると仮定すれば、 このようにして生じた興奮がその細胞の出力になる。

以上の説明を式で表すと、式(2.1),(2.2)のように まとめられる。

   eqnarray38

式(2.1) は、他の細胞からの荷重が細胞に与えられ、 それからしきい値を引いたものが u であることを意味している。 この u を膜電位、もしくは内部ポテンシャルと呼ぶ。 また式(2.2) は、細胞の出力は膜電位 u の関数として 決まることを表している。

入力 tex2html_wrap_inline1592 、出力 y の取りうる値としては、2値(0,1)のみを許す モデルや実数値を許すモデルがある。 マッカロとピッツのモデルは2値モデルであり、 関数 f(u) は式(2.3) で定義される階段関数になる。

  equation49

このように、出力として0,1の2値をとるようなモデルを、 入力の線形和( tex2html_wrap_inline1598 tex2html_wrap_inline1592 )がしきい値( tex2html_wrap_inline1602 )を越えた時のみ 1を出力することから、特に「線形しきい値素子」モデルという。

連続値形モデルの場合 f(u) の形はいろいろなものが考えられるが、 よく使われるものに図 2.3 のような シグモイド関数と呼ばれるものがある。 シグモイド関数として代表的なものは、式(2.4) である。

  equation59

   figure64
図 2.3: シグモイド関数



Toshinori DEGUCHI
2005年 4月 1日 金曜日 16時36分09秒 JST