BestHtml ロボコン’98指導(観察?)日記

来場者数学内用は学内のみ、学外用は学外からのみカウントアップします。 Since Oct. 1st, 1998.


ロボコン’98への取り組みをクラブ顧問の立場から見て


文章が大きくなりすぎたのでまえがきおよび八月以前はこちらに  10月分はこちらに

9月1日
 今日から始業。一限は4年生の電子工学だ。久しぶりに学生の顔を見る。全員出席で元気そうで何よりである。夏休みのいろんな話をし、最近考えていることなどを紹介した。久しぶりの授業だが、みんなよく聞いている。試験も近いし、がんばってほしい。
 ロボ研も今日から活動開始。名古屋放送局の真藤氏が取材に来校。学生の言葉を学生の視線までおりて話されている。若いのにさすがにNHKである。
 仲先生の方の取材もついでに見させてもらった。電気の四年生もなかなかがんばっている。現時点では遥かに仲先生たちの方が進んでいる。すこし、急がせないといけないが、試験もあり難しいところだ。いや、やっぱりちょっときつくいわないとだめだろう。

目覚めれば 上弦の月 吾子照らす  (白兎)

9月2日
 ありゃりゃ。誰もきていない。ひょっとして明日の課題試験の勉強のため?考えてみれば先週の火曜日から、全く何も進展していない。四年生は試験が関係ないから来てもよさそうなものだが。未だ夏休みかな。いったいこの夏休みに各パートでどれだけの仕事をやったのか考えてほしい。実際に製作できる期間は丸10日と残っていないのだから。そういえば一昨年は9月にはできあがっていた。危機感がないみたいだ。もっとも、責任の所在がはっきりしていないから。それぞれ押しつけているみたいだ。まあ、最後は稲葉に責任をとらせて学校を辞めさせればそれでいいということなのかな。卒業生や上級生の諸君、今年はピンチのようです。激励にきてください。

鈴虫も いそげいそげと 鳴いている  (白兎)

のんきに一句詠んでいる場合ではなさそうですね。

9月3日
 そういえば、数年前、岐阜のロボットで試合が始まってもぴくりとも動かず、学生もむなしく3分間つったっていたことがあったっけ。あのときの学生たちはその後校長室に呼ばれてきつくおしかりを受けたとかうわさに聞いたけど、指導教官はどうなったのだろう。減俸にでもなったのかな。そんなことになったら、子供四人を抱え、医療費もかさんでいる折からたいへんだ。当時指導していた先生にその頃の状況を聞いてみよう。仲先生は海外出張でそのころいなかったかな。
 ロボコン秋の陣がいよいよはじまる。学生たちも学生実験でなかなかこれなくて打ち合わせができない。がんばるしかない。
 昨日は帰宅するのが午後八時半をすぎていた。妻は昼から起きることができず、長女に総菜を買いに行かせてそれですましたとのこと。それでも朝は子供たちの弁当を作りたいというので、こちらもあわせて午前五時半には起床せざるをえない。二人で弁当を作り、朝食をつくり、洗濯物をほす。他から見ると仲のよい夫婦か、尻に敷かれた夫に見えるんだろうね。最近、スーパーに買い物にいってもそんなこと何も気にならなくなった。そんなこといっている状況ではないからね。
 今日は岐阜大学の夜間主コースに非常勤で行かなくちゃならない。ロボ研にも一時間ほどしか顔をだせない。また今日も遅くなる。

二人して 作る弁当 秋の味   (白兎)

9月4日
 疲れた。午後4時から3時間つきあっていたが、はじめていろいろ苦言を呈してしまった。こういうやり方があまりいい結果を生まないことはよくわかっているのだが、ついいろいろといってしまった。柏木君も鍵井君もむっとしていた。やはりちょっと距離をおいて見ていた方がいいかな。その方が遥かにこちらも楽だし。しかし・・・。
 あー、こんな調子でやってたら家庭崩壊かな。今日の夕飯は妻が作れたのかな。帰ったらみんな腹を空かせて待ってたりして。朝、五時半に起きてこんな時間までやっていたら、こちらの体がもたない。もしも、過労死で私が死んだら、この日記を読んでる方はこれを公開して公務による死亡と認定してもらって、家族にお金が行くようにしていただけると助かります。でも、この疲労はほとんど私的な家族の問題だからダメかもしれないね。まー、日記を書いたり一句詠めるうちは元気かな。でも、ストレスは相当たまっている。車を運転していても時々意識が飛んでいるときがあって、自分でも怖い。今日は一句詠む気力もない。
 ロボ研のみんな、がんばってくれ。とくに鍵井君、君には期待している。他の子たちにももちろん期待してるけど。上級生の学生たちが何人か応援に来てくれた。ありがとう。

9月7日
 二日間でリフレッシュといきたいがかえって疲れた。日曜日が終日雨であったので農耕作業をやらなかった分疲労はしなかったけど。大根や蕪の種まきをする必要があり、ちょっと予定が狂った。(家庭菜園をやっているんです。ちょっといろいろやりすぎかな。)朝のT限は3年生の授業である。このクラスも授業をしていて楽しいクラスだ。みんなよく聞いていてくれる。(試験がちかいからかな?)V限は4年生の電気設計実習。夏休みにがんばってくれたので、もうほとんど完成した。あとは高専見学会前日にセットすればよい。ご苦労様でした。 教室会議は比較的早く終えることができた。電気工学科では助手を公募しています。ホームページに詳細を載しております。希望される方あるいは知人で高専の助手を希望される方があったらご紹介下さい。
 ロボ研はみんな一生懸命やっている。柏木君もパワー素子を買ってきてくれた。彼もなかなか気持ちのいい男だ。能力も高い。電気の三年生にとっては強力なライバルになるだろう。さすがに登録メンバーに選ばれただけある。
 五年生たちも卒研の合間をぬって手伝いに来てくれている。とても助かる。  ホドダイオードを大須に買いに行く必要があるが、旅費は出ないので学生たちは誰もいきたがらない。名古屋大学に通っている堀君に頼もうということになり、メールで依頼する。すまんのう、堀君。東京や大阪近辺の学校はこの点便利ですね。
 もうそろそろ帰らないと家がどうなっているか心配だ。何かあれば電話が入るだろうから大丈夫とは思うが。

大根蒔き 後ろに並ぶ 雀たち   (白兎)

9月8日
 ロボ研のモータ制御はうまくいきそうだ。柏木君、鍵井君ごくろうさん。卵の方の制御をがんばってほしい。センサーのほうも何とかなりそう。ちょっと心配なのはバッテリー関係が手にはいるかどうか。全国の高専から注文が殺到するから、手に入りにくくなる。それと一番心配なのがルールに抵触しないか聞いている件だ。未だ返事が来ないが、大きく方針が変わってしまう。堀君が素子を買ってきてくれた。試験中なのにすみません。上級生も来てくれている。みんなの力でなんとか動かしたい。蒲君も部員を統率するのは難しいががんばってくれ。

9月9日
 蒲君から会場の再現をして練習したい旨を聞き、学生課長に相談する。学生課長のロボコンへの思い入れも深いものがあり、逆にプレッシャーを感ずる。私が感じてもどうしようもないんだけど。足りない部分は私の方で負担しようかな。なんか既存部品のバックアップ用に買った部品も含めると結構な額になってしまっているような気がする。合計するのが怖いが、いずれ注ぎ込んだお金は教育効果として電気の学生は卒研などで返ってくると思えばいい。電子制御の子たちの分は・・・まあいいか。また、戦争だから・・・なんて言われるかもしれないから、黙っていよう。
 それにしても、これだけの部員の熱意と学校の関係する教職員の篤い思いを背に動くロボットも大変な重圧でしょうね。甲子園の野球のプレッシャーみたいなものだろうね。ロボットだからそういうのは感じないと思うけど、世の中にはわからないことが多いから、案外、みんなの熱意が伝わって充分な動作をしてくれるかもしれない。というのは嘘で、繰り返し繰り返し試走を重ね、いろいろな問題点をクリアしたロボットだけが本当の実力を発揮することを私は知っている。思えば一昨年の全国ベスト4になったパイロンスナイパーもその前年のエンペラーも9月半ばには完成し、一ヶ月以上の試走をして、問題点を明らかにしていた。甲子園でもそうだが、地道な練習があってはじめて思わぬ力がでるのであって、練習がなければ逆に思わずエラーをするのだと思う。先日のテレビで横浜対PL学園の情報戦を詳しくながしていたが、情報を活かせるだけのすさまじい練習をしていることがわかった。ロボ研のロボットは今回はおそらくそれだけの練習を重ねることはできないだろうが、技術力(特に電気系)は他の高専に比べて決して劣っていることはないと思う。いよいよ、佳境に入ってきた。昨日は夜8時半に帰宅するときはまだ、学生がいたし、今朝8時頃に学校にきたときも既に学生がいた。がんばっていてくれる(ひょっとしたら徹夜かな?)。

夢のせて 走るロボット 玉の汗 (白兎)

9月10日
 朝晩は寒いくらいなのに、日中は真夏の暑さだ。ロボ研は夜しか活動できないから、あまり関係がないからいいが、体が変調になる。昨夜は夜1時頃まで自分の仕事をしていたが、長男も次男も珍しく部屋の電気がついていた。いつもは二人とも11時には寝てしまうのに、試験でもあるのだろうか。そういえばこの前の実力試験の結果はどうだったんだろうか。最近、高校のことは全く気にとめていない。あまりの成績の悪さに勉強を急に始めたのかな。ひょっとしたら、次男は部活の疲れで電気をつけたまま寝ていたのかもしれない。まあいいや。生きていくだけで精一杯の毎日だから、それ以上のことは望まないようにしよう。しかし、1時に寝て5時半に起きるのはさすがにつらかった。
 堀君から連絡があり、名古屋大学の編入学試験に5年電気の村橋君が合格したとのこと。昨年までのロボ研の電気部の中心であり、堀君に引き続き合格することができた。次は・・・、ありゃりゃ!今の4年電気にはロボ研の学生がいない。
 関係のみなさんのご尽力によりロンリウムベースが手に入りそうです。早く練習できるようにロボットをつくらなくてはいけない。
 今日は4時から4年生の工場実習の報告会を聞かなくちゃならない。そのあと、岐阜大学の夜間主の非常勤だからロボ研にはほとんど顔をだせない。非常勤に行っている日の方が結果的に早く帰れるが。

虫時雨 昨日の音より 寂しげに  (白兎)

9月11日
 昨日は岐阜大学の非常勤控え室で北川(もちろん電気の)先生と話し込み、帰宅したのはやっぱり9時だった。高専でいつでも話せるのに、わざわざ岐阜大学で話し込むこともないんだけれどもね。
 今日のT限の専攻科の授業に行ったら誰もいない。しばらく待っていたが、曜日を間違えたかなと思い起こして気がついた。そうだ!私の授業はU限だった。部屋に戻ってきたが、どっと疲れた。専攻科棟まで歩くだけで結構疲れるんです。
 午後からは、明後日の中学生による一日見学会の準備。自分の部屋の出展の準備と学科主任としての全体の準備でてんてこ舞いだった。それでも、これまでの蓄積があるために、昔に比べればかなり楽になった。
 私が注文した分のバッテリーが届く。電子部品と一緒に予備実験用に”貸してあげたが”戻ってくるかな?明日の土曜日も工場を使うので、立場上、出ていかないとまずい。日曜日は中学生による一日見学会で出てこなくてはならないし、妻と一緒に一週間分のいろいろな買い物や家庭の仕事をやろうと思っていたが、妻に一人で無理をしてもらうしかない。もしも、これでまた、妻が倒れでもしたら、どうしよう。そのときの怒りは・・・にぶっつけてやる。思い当たる・・・は覚悟しておいてほしい。
 来週からは広島での学会に出席するので、さらに、いそがしい一週間になる。

コオロギも こちらもびっくり 草むしり (白兎)
 
9月12日
 土曜日は学生もまばらで静かである。ロボ研が3名、仲先生のところがやはり3名。どうも試験の一夜ずけの影響が設計実習や卒研にまで影響が出ているような気がする。電気の教育のどこに原因があるかはだいたい私は把握しているのだが、主任の立場でも未だそれを口に出して指摘することはできない。
 妻は昨日は調子が悪く昼はずっと寝ていたとのこと。うーん、困った。あの二人組は傍観者を決め込んで、腕を組んで見てるだけで頼りにならないし。
 
9月13日
 高専見学会終了。真夏のような暑さの中何とか終了する。総合的に見ればよくやっていたと思う。特にロボットの実演は前日までの準備で大変でしたが、渡辺君をリーダにして、説明もうまくできました。ロボ研も一緒にやれば目標ができて、仕事がはかどったかもしれないが、クラブ部としての参加になると、他のクラブもあるし難しいところだ。やってもよかったかなと少し後悔している。残念ながら今お見せできる状態ではないが。

9月14日
 期末試験の時間割が発表される。やはり学生がぐっと減ってしまった。無理もないと思うが、先は暗い。メカができないと電気部品は乗せることができない。今までは、単に電源とモータとコントロールボックスの配線だからよかったが、今回はいろんなセンサをたくさん積みコンピュータ制御しているから、実際にのせてみないと電気的な問題点が明らかにならない。予定では10月の10日ぐらいのところで取材が入るから、それまでに動いてないとどうしようもない。この日までに一連の動作ができない場合は、私は重大な決意(パソコンを含めて現在貸し与えているすべての物品を撤収して指導教官を降りる)を宣言した。(相手はリーダの古田君だけだから意味がないかな)
 15日が休みで16、17日は広島で学会がある。17日は岐阜大学の夜間主の定期試験で広島から直行する必要がある。忙しいが、学会は楽しみだし、久しぶりに羽根君とあっていろんな話ができそうだ。広島で酒でも飲んで家のことは忘れてリフレッシュしたい。妻は大丈夫だろうかなあ。心配ではある。
 日誌も3日ほど休みます。
 二人来て 彼岸花摘み 帰る道 (白兎)

9月18日
 時計は既に6時をまわっていた。妻の朝食を作る音にあわてて飛び起きた。疲れで寝過ごしてしまったが、何とかしてくれていた。学校では主任としての仕事、専攻科のこと、試験のこと、ロボコンのこと、研究のこと等いっぱいたまっていた。とりあえず今日中に始末しておかないといけないことだけ優先させた。来週の前半は三重大学で東海支部の学会があるが、朝か晩かどちらかは学校に顔を出すつもりではある。
 広島では羽根君といろいろな話をした。東北大学のばりばりの教授だから羽根君ではまずいですね。お互いにいろいろなアイデアを出し合って互いに評価しあった。彼と話しているといろんなことを忘れることができ、とても刺激になる。世界の最先端の情報および動向を聞き取ることができ、とても有益だ。彼にとっては私と話しても意味がないかもしれないが、それでも客観的な評価やアイデアは出せるので、お互いに学会で会うたびにいろいろな話をする。この三ヶ月間のブランクが取り返しのつかないものになりはしないかと不安にもなる。現在の学会の進展状況にそれなりに対応してきたつもりではあったが、自分の研究者としての役割を考え、現在の状況を振り返ると、自分に本来かせられた使命は果たせていないような気がする。こんなことをするために、私は生を与えられたのではないような気がする。あー、大事なものを私はなくそうとしているのではないか。もう一度、原点に戻るべきかもしれない。
 高専見学会を見学した中学生から感想のメールをいただく。一生懸命に準備してよかったと思うと同時に、見る人は見てるから、手をぬけないなとも思う。見学会をきっかけに電気工学科を希望してもらえるようになったのなら、私たちの責任も重大であり、私たちも立派な教育成果をあげねばならない。ただ、宣伝するだけなら誰でもできるし、それでは意味がないものね。私たちはそれに応えるだけの努力をし、それなりの成果を上げているものと自負しています。
 そういえば心配していた北村君が名古屋大学の情報文化学部に合格した。やった! 彼は金沢大学の物理にも合格していた。おめでとう!北村君!僕たちは君がこの夏必死に勉強していたことを知っています。本当に努力すればいつか報われることを君は示してくれました。下級生にも非常によい影響を与えてくれるものと思います。努力してもまだ報われない学生諸君もいつか芽が出るときがやってくると信じてがんばって下さい。君のおかげでこちらもがんばろうという気が起きてきます。
 学生主事から10月12日午後4時より、校長の視察がある旨伺う。取材のことも考え、ちょうどいい頃だと思う。このころ動いてなければ話にならない。体育館にひかれた真新しいロンリウムベースの上を、みんなの熱い視線を浴びながら颯爽と進むロボットを思い浮かべるとわくわくします。赤い島でぴたっと止まった時の、みんなの拍手や歓声が思い浮かびます。ぴくっとも動かなかったらどうしようなんてことは精神衛生上よくないから考えないことにしています。卒業生の諸君も在校生の諸君も暇だったら見に来て下さい。うまくいったら、次の日の中学生の一日見学にも見せる機会があるといいんだけれど。
 ルールの問い合わせの件については了解がされた。ただ「本体から投下した物体が種子とみなされるのであれば」と微妙な言い回しがある。そういえば、以前に搭載の定義についてルールの追加説明があったので、他校も、同じ様な質問をしているのではないだろうか。
 当日の応援学生の人数などを学生係に報告した。ずいぶんたくさんの人数になるが、バスは一台でいけるのだろうか。ただ、私は前日から参加学生と一緒に鳥羽に乗り込んでいるので、応援学生の面倒までは見ていられないし、困った困った。そういえば前日に中学生の学生募集説明会があり、主任が説明しなくてはいけないが、どちらを優先しようか。説明した後鳥羽へ直行することを考えていたのだが、説明が午後3時すぎとのことで、無理みたいだ。
 とりあえず、本日の予定は一応全部こなした。学生たちは、完全に試験準備に入っている。無理もない。 
9月24日
 三重大で学会が二日間あった。両日とも台風に追い立てられるように帰宅したが、特に二日目がひどく、もうすこしで車が転覆するところであった。しかし、この一週間の期間は私にとってはいいブラッシュアップの期間でいろいろなアイデアを思いついた。久しぶりに次の新しい研究テーマを考えた。問題はすでにある現在のテーマがまだ進んでないことだが。この一週間はこれからの研究展開に大きく寄与するだろう。
 台風のため試験が途中で中断し、予備日にまわってしまった。これは痛い。貴重な製作の一日がつぶれてしまった。校長の視察日程が未定になってしまったが、かわりにNHKのロボット撮影が10月10日14:00になった。さあ、もう後はない。試験が終わったら、死にものぐるいでやらなくてはならない。やるのは、私ではないけど。
 学生主事と応援バスに乗れる学生の数等をうちあわせした。ついでに、指導のあり方についても話題になった。私は、夏休みの子供の工作を親がやるようなまねだけはしたくないと思っている。あくまでも学生の教育の一環であり、最良の技術教育、創造教育の場であると考えている。これを、先生が直接手を出したり、況やほとんど全部教官や技官で作ったとしたら、これは大きな教育に対する冒涜であると思っています。技術指導は必要であると思います。間違った方向に行かないようにすることも必要だと思います。これでは間に合わないからもっとがんばるようにエンハンスメントすることは重要なことです。必要と思われる物品を貸してやったり、あらかじめ準備してやることも微妙ですが、許されるのではないでしょうか。しかし、私がはんだごてを握ったり、旋盤を回したら、その瞬間に私は指導教官ではなく、製作者になってしまいます。これからどれくらいロボ研に関わりあるかわかりませんが、これだけは守っていきたいと考えています。それで間に合わなければ、ぴくっとも動かなければ、それは・・・やっぱり指導教官の責任でしょうね。学校の逆PRをしてしまう責任をどうとるかって?そうですね。それは、これまで私に科せられてきた精神的苦痛(そんなものありゃしない?)、失った時間(これは痛い)、バックアップに注ぎ込んだ費用(これは回収が可能)等を考慮していただいて免責にしていただけると助かりますが、それでも足りなければ・・・どうしましょう、学生主事、困りましたね校長先生。ただ、今のロボ研の学生を見ていると、通常の授業では決して得ることのできない、そして高専教育で最も重要な実践的教育、そしてこれから必要となる創造的技術の現場にたって貴重な経験をしていると思います。私がMED三学科の主任なら、専門学科の授業をすべて中断してもいいくらいの経験ができると思います。特に2年や3年の学生はいい経験を積んでいます。この教育効果は計り知れない成果を生んでいる・・・ということを言い訳にして許して下さい。言い訳を考え始めたらダメですね。立派に成功することを祈っています。(祈るのもダメですよね)あー、今から思うとあのパイロンスナイパーだけを思い出にしとけばよかったかな−。なまじっか、苦労の(指導教官としての)割に成果が上がったので、二匹目のドジョウをねらったのが間違いの始まりだったのかもしれないね。もし、いい結果が出なかったら、私がこの夏に失ったものは大変に大きい。でも、ドジョウではなくウナギや鯛がいるかもしれないし。まだ、結果が出た訳じゃないから。最後の(そして最も重要な)ひとがんばりだ。鞭を入れる段階だ。無知じゃないですよ。もちろん無恥でもありません。念のため

9月25日
 試験中で学校全体が静かである。自分のやりたい仕事がじっくりできる。空き時間を利用して、十月の学校説明会で予定されている電気工学科の紹介のためのプリゼンテーションをパワーポイントで作る。富士通のノートパソコンで仕事をしたが、これまでの98のキーボードになれてしまっているので、なかなか進まない。とりあえず半分ぐらいまでは作ったが、息抜きのつもりで始めたのにすっかり疲れてしまった。
 浜松ホトニクスからホトダイオードアレイが届いたが、ピン配置がよくわからない。結構高いものだから資料ぐらいつけてくれてもいいのにね。そうは言っても光電子の専門メーカとして、電気大手を相手にしていい仕事をしている。昔、私がまだ大学院生であった頃は浜松テレビという会社名で、中京テレビなどのようなUHF局の一つだと思いこんでいた時代が懐かしい。
 ロボ研も全く活動停止状態。私の方は待ちこがれていたYAGレーザが届く。He-Cdレーザが届き次第、新しい研究展開に突入する。そろそろ、卒研生たちと一緒に本格的な秋の研究モードに入る。


運動会  我が子の走り 目に浮かび (白兎)
  
9月28日
 私的なことだが、日曜日に小四の子供がだしていた夏休みの子供科学工夫展を見に行ってきた。我が家では長男から代々(というほどでもないですが)夏休みには工作を作って科学工夫展に作品を出すのが恒例になっています。この大変な夏休みにもやることはやっていました。これまでの最高は次男の「水上メリーゴーランド」が全国に行きました。三男は二年で優秀賞、三年で教育委員会長賞、四年で岐阜市長賞をいただき、鼻高々です。次男は五年と六年で岐阜市長賞をいただいたので二人で自慢しあっています。長男も長女も発明協会支部長賞等をいただいており、ずいぶんとトロフィも並んでいます。
 子供たちが作り上げたのを見ると、ここにセンサを入れて自動制御すればもっといい賞が取れるのにと思う一方、そんなことをしたら小学校のレベルを超えてしまうと躊躇します。しかし、六年生ぐらいになると簡単な論理回路はわかりますので、回路図さえ書いてやれば何とか自分でも作れるようです。今年の三男は「ミニミニサッカー」でモータに羽根をつけて発泡スチロールの球をとばす作品でした。小四らしく原理は簡単なのですが、結構見ていると厭きないので、おもしろいのではないかと思っていました。卒業生のみなさんもお子さまができたら、夏休みの作品を応募させると、夏の目標ができて楽しいですよ。あまりのめり込むと、自分で鋸やはんだごてを握る羽目になるので気をつけて下さい。この経験がロボ研の学生指導に生きているといったら、学生は怒るでしょうね。
 試験のため、全く活動できない。あと少しです。
 ロボコンの応援学生の人数が最終的に決定した。いろいろな問題があり、むつかしい。私が引率をするわけではないので複雑な気分ではあるが。

9月29日
 午前中は、学生への連絡で走り回る。その途中で専攻科一年の実験の発表会を見学する。半年間電子制御の実験として課題が与えられ、2名一組で自立移動ロボットを作り競争するものである。テーマはライントレースをしてテニスボールを取って帰ってくる簡単なものである。驚いたのは、「棄権します」というグループがいたことだ。しかもかなりの数であった。棄権するとはどういうことなのだろう。言葉の本来の意味をはき違えているのではないだろうか。そんなことが許されるのだろうか。どうも、まともに動いていたのは極めて少ないような気がする。来年度からはロボ研の学生を全員つれて見学させよう。
 NHKから、問い合わせの多い件に関してルールの説明があった。どうも、よく検討してみないとわからないが、致命的な箇所があるような気がする。大幅に変更しないと対応できないかもしれない。明日で試験が終わるがみんなくるのかな。案外、テストあけは遊びになってたりして。

待ちこがれ 一人たたずむ 秋の夜 (白兎)

9月30日
 来ました、来ました。主だったメンバーがとうとう戻ってきました(戻ってこないのは電話で強引に家から呼び戻したけど)。10月10日の撮影のプレッシャーがよかったのかもしれない。ともかく、まず、一連の動作をさせるべく仕事を進め始めました。ロンリウムベースを学生が切り張りするようなことを言っていたので、思い切って買うことにしました(トホホ)。これで全面滑走可能です(滑ってはダメですね)。いよいよ、ロボットにもプレッシャーがかかってきましたね。これで、スタート直後にこけたりしたら、私は廃人同様で立ち直れないので、2,3日、鳥羽の水族館でアシカのショーでも見て暮らします。
 何とか種子と認められるように条件を整えることになりました。光関係は私の専門なので、学生の技術指導をしていても楽しいですね。光上君もだいぶ力が付いてきました。名前負けしてませんね。久しぶりにクラブ活動に身を入れていますが、昔、ラグビー部に熱をあげてたころが懐かしく思い出されます。毎年最下位で、問題児ばかりのラグビー部を任され、暴力事件などの大事件を起こしながらも、就任五年目で岐阜高専としてははじめて、夢の夢だった全国大会への切符を手に入れた頃をとても鮮明に思い出すことができます。グランドの横から選手を叱咤激励し、県のラグビー協会関係者や岐阜高専の関係者が一丸となって応援した中でつかみ取った初優勝でした。本当に懐かしい今から20年弱も前の話ですが、思い出すだけであのころの感激がよみがえってきます。そういえば、そのときは年末年始の合宿をやりましたが、今と違ってコンビニもなく、年末年始はどこも開店してなくて、注文しておいた弁当だけであとは毎日ラグビーだけでした。一月三日から大会が始まり、帰りは帰省ラッシュで身動きとれずに帰ってきたことを覚えています。あーそうでした。宿舎と会場の往復に自衛隊が協力してくれたのですが、私たちは、自衛隊員をよくのせる、そうです、あのトラックにのせられて運ばれたのでした。向かい合わせの席に、ただひたすら下をみて、囚人の護送車もかくありなんという様相で運ばれていきました。でも、いい経験ができたかもしれませんね。当時、ラグビーは早稲田の本城君や吉野君といった選手が活躍して人気がとても高く、協会のバックアップもあり、試合終了後には報道陣による監督インタビューもありました(そう、私は監督だったのです。一応)。ラグビーマガジンに載ったりして、とても充実していました。そうでした、学位を取ったのもこのころでした。時間がないときほど、いい仕事が、いくつかできる、暇なときほど、ろくな仕事ができない、と偉そうに思っていた頃でした。今の私には、家のこともあり、そこまでできるわけがないですが、何年か後に、一番充実していた頃だったと思えるんではないでしょうか。ロボコンでも、教育でも、研究でもよい結果がうまれればいうことはないのですが。さてどうなりますか。
 とうとうヘリウムカドミウムレーザが入りました。想像していた以上に大きく、どこに置くかも全く考えてない状況だったので大変でした。卒業生のみなさんは私のあの部屋に2m近い巨大なレーザとその電源を置くことを推測してみて下さい。レーザ管を見て、ため息がでるばかりです。しかし、このレーザは私がいた研究室で初めて開発したレーザで、25年ぶりに青いレーザ光をみて、また、昔をプレイバックしてしまいました。ちょっと最近スランプ気味でしたが、これで道具はそろいましたので、再び世界に挑戦です。必ずや世界中の研究者をあっと言わせてみせる研究をやります。鳥羽から何事もなく無事帰ってこれたらね。

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