このため古典制御理論では、(1.1)式をラプラス変換し、単純な代数方程式に
することで入力から出力を求めている。具体的には(1.1)式に対し,初期条件
を適用し,ラプラス変換すると
しかし、このように与えられたシステムの微分方程式をラプラス変換により簡単化するためには、システムが1入力1出力であることが要求され、より複雑なシステムに対しては、古典制御理論では十分でないことが判る。
現代制御理論は、上記のような古典制御理論の不備を補うため、状態変数というものを導入し、システムを状態方程式と呼ばれる1階の行列微分方程式で記述する手法を確立した。実際、(1.1)式で与えられるシステムを状態方程式により記述してみる。
そのため、次式のように新しい変数を導入する:
さらに,図2.1で与えられるシステムを別の状態変数を使って表現することもできる.
実際次のように状態変数,
を定めるとする:
このときシステムの状態方程式は次式で与えられる:
次に電気系の例を考える.
図2.2で与えられる回路を考える.端子電圧を入力,
を出力とすると,
キルヒホッフの法則により,閉路1については
これらの例では,入力も出力
も共にスカラーであったが,現実には1つのシステムに複数個の入力と出力を持つことが考えられる.このため,状態方程式(1.7),(1.8)式を,上記のような多入力多出力の場合にまで一般化すると
例2.2 多入力多出力システムの例として,図2.4の力学系を挙げる.ここではそれぞれ物体Aと物体Bの質量,
をバネ定数,
をダッシュポットの減衰定数とする.さらに,物体Aと物体Bにはそれぞれ任意の力
を加えることができるものとする.このとき物体A,物体Bがある平衡状態
に対し,どれだけ位置が変化するかを
により表し,これら
を制御することを考える.
システムの運動方程式は以下で与えられる: