前述した想起率rは,全ステップ数の中で学習したパターンが どれだけ現れたかを示すパラメータである. 想起率が高いほど良い想起状態と判断できるが, 同じパターンだけが現れていても想起率が高くなる. しかし,その状態は望ましいものではない.
一方で想起頻度の偏り は,想起されたパターンの偏りを示す値で
それぞれのパターンが偏りなく想起されていれば,小さくなる.
値は小さいほど良いが,わずかな回数しか想起されずに全体的にまんべんなく
想起されるても
が小さくなる.この状態は良いとは言えない.
このように1つのパラメータで想起全体を評価することはできない.
そこでrと の双方が両立しているかを表す方法を考える.
それには, ,また
であることと,
rは1に近い程よく,
は0に近い方が良いという性質を利用して
という値を考える.
この値を使うことによって,想起率と想起頻度の偏りが両立しているかどうかを表せる.
この値が大きいほど良い想起状態であると判断でき,
一連の動的想起の状態を1つのパラメータで評価することができる.
図5.8に の変化を示す.
この結果より,動作素子の決定に乱数を使う非同期は全体的に,
大きな値を示しており,想起の状態としてよいことがわかる.
また,制約あり非同期の方が制約なしよりも全体的に良い値を示している.