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5.4.3 考察

まず、各学習回数における学習状況について述べる。 10000回学習した時点では、``ABC''と``EDCBA''は学習されているが、``CDE''はほとんど学習されていない。 したがってこの時点では、中間層においてはまだ``CDE''を検出する組織化がなされていなかったことになる。 というのは、100000回学習においては``CDE''は検出できているからである。また、 1000000回学習においても検出すべき三つのパターンは検出できている。 しかし、確かに検出すべきパターンは検出できているが、検出してはいけないものまで検出してしまっている。 グラフの真中のアルファベットの列はニューラルネットワークに入力されたパターンである。その上又は下に時々ついているアスタリスク(*)は発火すべき位置を示すためのマークである。

グラフの発火状況を見てみると、 10000回学習においては、二箇所間違って発火している。発火の仕方は``EDCBA''を検出した時のものであるから、これは``EDCBA''を誤って検出したものであるということができる。共通している点は、``DA''の``A''の地点で発火しているということと、そこから数えて四つ前に``E''があるということである。

100000回学習においては、一番左の発火は無視できるもの(それ以前の入力、つまり学習の最後の入力が``EDCB''であったと考えられる)として、三箇所間違って発火している。二箇所は 10000回学習と同じものであり、もう一箇所は``CDE''を検出した時の発火の仕方と同じものである。この場合は``CE''で発火しているので、中間層が発火してしまったことはうなずける。また、 10000回学習の時点では``CDE''は学習されていなかったこともあり、その時発火しなかったことも納得がいく。

1000000回学習においては、新たに``DC''が誤って検出されている。このことについては、その前に``A'',``B''が一つまたは二つおきに入力されているので、その影響であると思われる。しかし、こんなにはっきりと出力されている理由は現段階では分からない。

総合的に見て、このモデルでは目的を満足させるような結果は得られないということができる。



Deguchi Toshinori
1996年12月18日 (水) 11時08分12秒 JST