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2.4 カオスニューロンについて

まず、カオスというのは「混沌」や「無秩序」という意味をもっている。 カオスは1970年代から研究が本格的にはじまった[5]。 このカオスの例としては波や炎のゆらめきがあげられる。

カオスとは

「決定論的なシステムがつくり出す非周期振動」

という現象である、 ここでいう決定論というのは、不変の法則のことであり、 非周期振動というのは、 周期のない、勝手な動きをするということである。 つまり、「ある時点での状態(初期値)が決まれば、その後の状態が原理的に全て 決定される」という決定論的法則にしたがっているのにも関わらず、非常に複雑で 不規則かつ不安定なふるまいをして遠い将来における状態が予測不可能なことである。 一次関数や二次関数の場合、初期値が変わった時に結果の変化というのは 予測できてしまう[6]。 しかしこのカオスの場合は初期値の微小な変化で結果は非常に大きく変わって くるので最終的な結果を予測することは不可能である。 これをカオス的挙動と呼ぶ。 このカオス的挙動を実際に計算して求めてみる。 この実験に式(2.5)を用いる。

  equation94

この式は、計算した出力値が次の入力値になっている (これをフィードバックという)。 計算した結果を図 2.6に示す。

   figure99
図 2.6: 初期値のわずかな違いで起こる系の挙動変化の様子

図(a)、図(b)の違いは、初期値が0.300000か0.300001かという違いだけである。 この図 2.6をみてもらえばその出力値の予想が不可能な ことがよくわかると思う。 たった百万分の一の違いだけでその出力は全く変わっていくのである。 これが「決定論的なシステムがつくり出す非周期振動」 つまりカオスなのである。



Deguchi Toshinori
Wed May 15 13:12:15 JST 2002