一昨年度までの研究では、カオス状態をコントロールする方法として、
第 4 章
に示したパラメータ を変化させることにより行ってきた。
また、昨年の研究ではシナプス前抑制による制御を取り入れた。
なぜなら、
を変化させるには、
ニューラルネットワークの外部から制御する必要がある。
しかしシナプス前抑制を用いることにより、
ニューラルネットワークによる制御が可能となる。
扱うことによって間接的に制御を行うものであるのに対し、シナプス前抑制は、
直接的にニューロンの結合部を変化させることにより抑制を行うものであるから
である。
本研究でもこのシナプス前抑制による制御を採り入れる。
シナプスとは、神経細胞と神経細胞の結合部分のことをいい、 一般に、
次に、シナプス前抑制とは、 実際の神経回路網にも観られるもので、 興奮性シナプスのシナプス前終末を脱分極させ、 興奮性シナプスから放出される信号の量を制御することにより 抑制をかけるものである[6](図 6.5 )。
これは、 式(6.1)のシナプス結合荷重 w を制御するものと考えられる。 また、本来シナプス前抑制は、興奮性シナプスのみに働くものであるが、 本研究においては、興奮性、抑制性に問わず一様に働くものとし、 次式のようにモデル化した。
昨年の研究では、
シナプス前抑制関数 は、図 6.6 に示すように
シナプス前抑制 Z=1 のとき、
(カオス状態)をとる点と、
Z=0 のとき、
(自己想起)をとる点の2点間を
反比例の曲線で結び、次式のように定めた。
本研究ではシナプス前抑制関数によるサーチアクセスへの影響を調べるために、 次式で表される階段関数(図 6.7 )を用いて比較を行なってみた。
ここで、式(6.3) 、
式(6.4)で示したシナプス結合荷重 を
カオスニューロンモデルの式(4.11)に考慮することによって、
次式(6.5)のようになる。
よって、本研究に用いるシナプス前抑制を考慮したカオスニューロンモデルは、 式(4.10)(6.5)(4.12)によって決定される。