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3.2 カオスニューロンのモデル

実際の神経細胞は容易にカオスを作成し、その応答は非周期的であるにも関わらず、 従来のニューロンモデルの応答はほとんど全て周期的である。 これは従来を考慮していなかった神経細胞がなんらかの特徴が、 カオスの生成に寄与していることを示している。

従来のニューロンモデルの出力は、全か無かの法則(階段関数)で与えられていたが、 合原らによれば、実際の神経細胞は空間条件など固定した注意深い実験を行なうと、 神経膜の活動電位生成過程は厳密には全か無かの法則には従わず、 図 3.1 シグモイド関数のように、 急激な立ち上がりだが、連続的に応答の大きさが変化する[2]。 このことがニューロンのカオス現象を生じさせている。 つまり、ニューロンにおけるカオスは全か無かの法則の不成立 によって成り立つ。

マッカロとピッツのニューロンモデルでは ニューロンの出力関数は階段関数で表されており、 その応答は周期的で、神経細胞モデルとしては不完全であると言える。 そこで合原らはカオスダイナミクスを有するカオスニューロンモデル を提案した。このモデルは式(3.2)で定義される[5]。

   eqnarray127

ここで x(t+1) は時刻 t+1 におけるニューロンの出力、 y(t+1) は時刻 t+1 におけるカオスニューロンの内部状態、 A(t) は時刻 t における外部からの入力の大きさ、 tex2html_wrap_inline1206 は不応性の影響の大きさを決定する係数( tex2html_wrap_inline1208 )、 tex2html_wrap_inline1210 は不応性の時間減衰項、 tex2html_wrap_inline1152 は閾値である。 関数 f はニューロンの内部状態と出力の関係を表す式で、 通常は式(3.3)のシグモイド関数が用いられる。

   figure134
図 3.1: シグモイド関数

  equation141



Deguchi Toshinori
Wed May 15 13:53:18 JST 2002