前実験と同様に、どの素子においても反転ビットが少ないときは、水平で直線的なグラフになり、入力した全てのパターンを学習させたパターンに引き込んでいることがわかる。反転ビットが多くなると、入力した全てのパターンを引き込めなくなる。 この引き込み領域で全てのパターンを学習させたパターンに引き込める範囲が前述した完全引き込み領域である。 この完全引き込み領域に着目した200素子、300素子、400素子におけるグラフを図5.10、図5.11、図5.12に示す。これらのグラフは横軸に入力したパターン数、縦軸に完全引き込み領域をとったグラフである。 また、100素子から400素子までの入力したパターン数と完全引き込み領域の関係をまとめてグラフにしたものが、図5.13である。
どの素子においても入力パターンが増えると学習させたすべてのパターンを引き込めるパターン数が少なくなっていることがわかる。 入力パターン数が同じときのそれぞれの素子数に対する完全引き込み領域に着目して考えると、素子数が多い方が引き込めるパターン数が多いとわかる。これは、素子を増やすことで、最大完全学習数が増えるので、反転ビット数を増やしても引き込めるパターン数が必然的に多くなっていると考えられる。 そこで、単純な完全引き込み領域のグラフではなく、素子数に対してどれだけの完全引き込み領域があるのかという素子数ごとの割合で示したグラフを図5.14にしめす。このグラフより各素子とも、反転ビット数が1パターンであるときの点が同じであり、また最大完全学習数のときの値も同じような点であることがわかる。その各素子数での1パターン、最大完全学習数でのパターン数での素子数に対する完全引き込み領域の割合に着目して詳しく調べたものを表5.3に示す。 この表では、素子数ごとの完全引き込み領域の範囲と、その素子数に対する割合を、それぞれ1パターンだけ学習させたとき、最大完全学習パターン数まで学習させたときの値をまとめたものである。 これらの結果より、どの素子においても1パターンを学習させただけのときは、素子数に対して50%の違いがあるパターンにおいても、全ての学習させたパターンを引き込むことが可能であることがわかった。 また、最大完全学習パターン数においては、素子数に対しておおよそ2%程度の違いのパターンであっても、全ての学習させたパターンを引き込みが可能であるとわかった。
最大の完全引き込み領域 | ||||
1パターン | 最大完全学習パターン | |||
100 | 50 | 50% | 2 | 2% |
200 | 100 | 50% | 5 | 2.5% |
300 | 150 | 50% | 8 | 2.67% |
400 | 200 | 50% | 9 | 2.25% |