カオス状態をコントロールする方法として、
4.3に示した
パラメータ を変化させる方法とシナプス前抑制による制御方法がある。
を変化させる方法は時空間的に過去のニューロンの出力を
扱うことによって間接的に制御を行うものであるのに対し、シナプス前抑制は、
直接的にニューロンの結合部を変化させることにより抑制を行うものである。
本研究でもこのシナプス前抑制による制御を採り入れる。
シナプスとは、神経細胞と神経細胞の結合部分のことをいい、 一般に、
次に、シナプス前抑制とは、 実際の神経回路網にも観られるもので、 興奮性シナプスのシナプス前終末を脱分極させ、 興奮性シナプスから放出される信号の量を制御することにより 抑制をかけるものである[7](図 4.4 )。
これは、 式(4.13)のシナプス結合荷重 w を制御するものと考えられる。 また、本来シナプス前抑制は、興奮性シナプスのみに働くものであるが、 本研究においては、興奮性、抑制性に問わず一様に働くものとし、 次式のようにモデル化した。
ここで、シナプス結合荷重 を
カオスニューロンモデルの式(4.11)に考慮することによって、
次式(4.15)のようになる。
よって、本研究に用いるシナプス前抑制を考慮したカオスニューロンモデルは、 式(4.10)(4.15)(4.12)によって決定される。
また、 となると抑制している事にはならない。
この状態を``シナプス前抑制の緩和''という。