ニューラルネットにおける連想記憶とは、一般に次のようなものである。 図 5.1 のように N 個のニューロンに M 本の入力信号が加えられているニューラルネットを考える。
入力パターン (
:入力信号 j がとる値)
と出力パターン(想起パターン)
(
:ニューロン
i の出力信号がとる値)の組が複数個
あって、
上記の P 個の入力パターンの内の1つをニューラルネットに入力した時に、
対応する出力パターン(つまり入力パターン
に対しては
出力パターン
)を出力するように、
上記の入出力パターンを記憶することを連想記憶という。
また、連想記憶が学習する過程を記銘過程と呼び、神経回路網が入力パターンを
与えられることによって、何らかの出力をする過程を想起過程と呼ぶ。
記銘する入力パターンと出力パターンとが一致している
( )連想記憶のことを
自己相関記憶、異なる連想記憶のことを相互相関記憶と呼ぶ。
自己相関記憶では、入力パターンと出力パターンとの組を複数個記憶するのでなくて、
単純に復数個のパターンを記憶することになる。
自己相関記憶は次のような意味をもつ。いくつかのパターンを記憶した後、
どのパターンとも正確には一致しないが、どれかのパターン と
最も近い入力
をニューラルネットに与えるとする。
そのとき
そのものを出力すれば、パターン
から
パターン
を``連想"したことになる。
人間の脳の機能にあてはめると、これは例えば、複数の文字の形を覚えている状態で、
形の崩れた文字を見せたときに、その文字がなんであるのか、記憶しているものから
最も近いものを答えることに相当する
[8]。
つぎに、ニューラルネットにおける連想記憶の特徴となる点をあげる。