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: 結論 : 実験 : 実験結果   目次

考察・検討

内部記憶を持つニューラルネットワークに 遅れ学習法を用いて気温のような複雑な時系列を学習させるとき、 遅れ時間や、時系列の一周期のサンプリングデータ数、 ネットワークの規模が学習結果に影響を与えることが示された。

まず、6.1.2項 ではサンプリングデータ数によって平均誤差が小さくなる ものと全く予測出来ないものに分かれた。 この原因としては、数時間後の温度差が激しい、もしくは緩やかすぎると 小規模なネットワークでは中間層や内部記憶層の素子数が少ないため、 急激な変化に対応出来ず 学習が出来ない可能性があるのではないかと考えられる。 しかし6.2.2項より、 サンプリングデータ数が3の場合はネットワークの規模を変更することで 平均誤差に改善が見られたが、サンプリングデータ数が4の場合は改善されなかったことから 学習が失敗したのは別の原因があると考えられる。

学習が成功した場合のネットワークの規模は、 本実験で使用したネットワークの中では大きいものであり、 複雑な時系列を学習する場合には規模の大きなネットワークを用いた方が 学習が成功する可能性が高いと考えられる。 内部記憶層の素子数を変化させるより、中間層の素子数を変化させた方が 平均誤差が小さくなったことから、 ニューラルネットの規模に制限がある場合や、 更にネットワークの規模を増やして学習させる場合には、 中間層の素子数を変化させた方が内部記憶層の素子数を変化させるより、 学習が成功する可能性が高いと考えられる。

また、 全体的に平均誤差が小さくなるときの遅れ時間は、 少ない方がよいという傾向が見られた。



Deguchi Lab. 平成21年3月6日