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実験1:時間加算項の有無での学習の様子

図 4.2: 時間加算項の有無による学習の影響(10set目)
図 4.3: 時間加算項の有無による学習の影響(50set目)
\includegraphics[scale=0.9]{images/gakusyu10.eps}

\includegraphics[scale=0.9]{images/gakusyu50.eps}

図 4.4: 内部状態の値の推移(時間加算項有り)
\includegraphics[scale=0.9]{images/ugokiari.eps}

図 4.5: 内部状態の値の推移(時間加算項無し)
\includegraphics[scale=0.9]{images/ugokinasi.eps}

この実験では、時間加算項の有無での学習の様子を調べる事にした。 代表として、10セット目の最初のパターンと50セット目の最初のパターンの学習の様子を図4.2,図4.3に示す。 この図は縦1列にネットワークを構成している100個のニューロンを配置し、横に100回入力した時のニューロンの学習の様子を示している。 グラフ内の+の点は学習がおこっている事を表している。

時間加算項有りのグラフでは15回ほどパターンを入力しないと学習が始まらない。 しかし、時間加算項無しグラフではパターンが切り替わるとすぐに学習を始めている。 この時間加算項有りがパターンの切り替えに時間がかかるのは、時間加算項に以前の入力が残っている為だと考えられる。 それは式2.6から時間加算項有りの場合は$ \xi_i(t)$ $ \eta_i(t)$ $ \zeta_i(t)$ など以前の入力が組み込まれている事からも分かる。 一方、時間加算項なしの場合は$ k_s$ $ k_m$ $ k_r$ の値が0となるので、$ \xi_i(t)$ $ \eta_i(t)$ $ \zeta_i(t)$ は考慮されなくなる。 そのため時間加算項無しの場合はパターンが変わると同時に学習し始めたのだろう。

また、時間加算項有りの場合では入力回数の後半でも学習がたまに行われているが、時間加算項無しでは最初の数回の入力以降学習は行われていない。 この原因を調べる為に、ニューロンの内部状態の変化を、時間加算項有りと無しで比較した。 その様子を図4.4,図4.5に示す。 こちらのグラフも+の点がある所で学習がおこっている。 すると、時間加算がない場合、不応性の項は新しいパターンを入力した時だけ変化しそれ以降は一定であった。 図4.5にからも分かるように、学習を行い相互結合の項が不応性の項の値を超える結合加重に変化した時、それ以降学習は行われていない。 一方図4.4では、不応性の時間加算係数は相互結合の時間加算係数より大きいため、何度か入力した後でも不応性の項が相互結合の項の値を超える事がある。 そのため時間加算項ありの場合は後半でも少し学習が行われていたと考えられる。

以上の結果は50セット目の最初のパターンでも同じ事が言える。 したがって、時間加算項が有りより無しの方がパターン入力回数を短縮できると考えられる。



Deguchi Lab. 2015年3月4日