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4.4.1 気温予測実験

4.2に示すのは,A,B,C typeにおける学習中の誤差変化である。 この誤差とは,学習している'93年と'94年の名古屋での気温を予測させ, 1日1日の誤差を2年間で平均したものであり, また学習回数は2年分の学習データを学習させた回数である。 最終的に3万回学習した時点で2年間の平均誤差は, Atype 3.44, Btype 0.52, Ctype 1.04 となり,前7日分の入力を行なったBtypeが最も小さい平均誤差を出した。 Btypeは入力データの数が多いため, 誤差が一番少なくなるのは予想通りの結果であった。

   figure269
図 4.2: 各typeの学習回数における誤差変化

ここで平均誤差の一番大きかったAtypeを除き, BtypeとCtypeにおける学習データとその予測の誤差を 1日ごとで見ると 特徴の違いが大きく出た(図4.3,図4.4)。 平均誤差の最も小さかったBtypeは, 誤差の大きい部分,小さい部分が極端に出ているのに対し, Btypeより平均誤差の大きかったCtypeは, 大小の誤差が2年間通して均等に出ている。 Btypeに現れる大小の誤差部分の日づけを見てみると, 誤差の大きい部分は200〜250日目及び525〜575日目であり, およそ7月〜9月にあたる。 また,誤差の小さい部分は1〜100日目,375〜425日目及び650〜730日目であり, およそ11月〜3月にあたる。 つまり,冬によく当たり,夏外れやすい傾向であることが分かる。 逆にCtypeは, そのような傾向はなく夏でも冬でもそこそこ当たる気温予測となった。

   figure278
図 4.3: Btypeによる'93'94年の気温予測

   figure285
図 4.4: Ctypeによる'93'94年の気温予測

 

 

誤 差
0.8zh[0pt][0pt]type 0.8zh[0pt][0pt]学習回数 '95名古屋 '93'94福岡
-0.8zh[0pt][0pt]B 3000 4.686 4.451
20000 -- 5.56
-0.8zh[0pt][0pt]C 4000 3.184 3.289
20000 -- 3.98
表 4.2: 学習していない年,地域での予測

次に,2万回学習した時点で学習していない地域での気温予測をさせてみた。 '93'94年の福岡における最高,最低気温を予測さたところ,平均誤差は Btypeが5.56,Ctypeが3.98となり,Ctypeの方が良い結果となった(表4.2)。 また,B,Ctype両方が学習中で平均誤差が2以下になった直後に一旦学習を止め, '93'94年の福岡と'95年名古屋における最高,最低気温の予測させた。 この時の学習回数は,Btypeが3000回,Ctypeが4000回である。 '93'94年福岡の予測は平均誤差が,Btypeが4.45,Ctypeが3.29となり, '95年名古屋の予測では,Btypeが4.69,Ctypeが3.18となった(表4.2)。 ここで,B,Ctypeとも学習回数が少ない方が良い結果となっている。 これは,ある特定の年,地域のみで学習をさせすぎると, ある特定の年,地域だけに特化してしまうからではないかと考えられる。

そこで,どのくらいの学習回数で特化してしまうのか調べてみることにした。 '93〜'95年の名古屋における気温3年間分を学習し, 未学習である'96年を含む,'93〜'96年の気温を予測させ 学習回数に対する誤差を出してみた。

   figure318
図 4.5: Btype 学習回数による誤差変化

   figure325
図 4.6: Ctype 学習回数による誤差変化

4.5,4.6において, 縦軸は平均誤差,横軸は学習回数である。 '93〜'96年の4年間の平均誤差は, 学習を進めると共に下がっていくが, 未学習である'96年の平均誤差は, Btype,Ctypeとも3000回の最小誤差をピークに 徐々に誤差が上がっていく様子分かる。 やはり,'93〜'95年という短い期間を 何回も学習しすぎると, 未学習の気温の予測が困難になると考えられる。



Deguchi Toshinori
Tue Feb 23 15:28:33 JST 1999