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: 参考文献 : Squeakにより操作可能なマイコン制御システムの開発 : 結果   目次

結論

本研究では、Squeakによるマイコン制御システムの開発を行った。

以前の研究にて使われたSqueakとマイコン間の通信プロトコルは、新しく追加する機能を実現するには不十分な内容であったため、再検討してプロトコルの拡張を行った。また、プロトコルを基にC言語でマイコンのプログラムを作成し、動作確認を行った。

新しく追加した機能はバッチ処理を行うというものである。これにより、レスクロはシリアルケーブルを外した状態でも一定の動作を行うことが可能となった。また、バッチ処理中で条件分岐を行う機能を設けることで、バッチ処理に柔軟性を持たせた。

夏休みに電気情報工学科の公開講座が行われたときは、以前の研究にて製作されたシリアルポートの通信機能だけを持ったモーフを使用したが、コマンドを数値に直して送信する必要があり子供には扱いづらいとわかった。そこで、プロトコルを意識しすぎることなくレスクロの制御ができるモーフを作成した。そのために、Smalltalkで書かれたシリアル通信の機能を持つモーフのクラスを継承した。これにより、以前製作されたモーフと同様に利用者が誤って内容を変更してしまうリスクを回避でき、コマンドを[前進]、[A/D入力]などのタイルの形にすることで簡単に実行できるモーフが完成した。

モーフにはバッチ処理を簡単に行うためのコンバータを実装した。Squeak上で作成したスクリプトがシリアルケーブルを繋いだままで動作するなら、バッチ処理に書き込んで実行しても同じ動作をするのが理想的であるため、コンバート後も一部のコマンドを除いて同じような動作をするように配慮した。特に、Squeakに最初から組み込まれている「テスト はい/いいえ」タイルを条件分岐のコマンドに利用できるのはとても有効であると考えられる。

結果、Squeakを使ってロボット制御を簡単に行うことが可能になった。また、以前の研究結果から指摘されたシリアルケーブルと条件分岐の問題も解決された。これにより、小・中学生が考えたことをより柔軟にロボットの動作に反映することができるようになり、楽しみながらSqueakでロボット制御をして、プログラミングの基礎や数理的な考え方、ロボットの技術を身に付けると期待される。

謝辞

最後に、本研究を進めるにあたり、ご多忙中にもかかわらず多大なご指導を賜りました出口利憲先生に深く感謝するとともに、同研究室においてともに勉学に励んだ日比智也、松野圭将に厚く御礼を申し上げます。



Deguchi Lab. 平成20年3月5日