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目次
従来のニューロンモデルは、多数の入力の結合荷重と
しきい値作用をニューロンの特徴的な機能としモデル化を行なっていた。
これは、ニューロンを忠実にモデル化するとその取り扱いが複雑になり、
その本質を理解するのに障害になると考えられていたからである。
また、ニューロンの出力関数には全か無かの階段関数を用いていた。
しかし、合原らのヤリイカの巨大軸索を用いた実験により
空間条件を固定し、注意深く実験を行なうと、
その応答は非周期的であり、
急峻な立ち上がりをもち連続的に変化する出力関数になることが分かった[8]。
これらのことから、ニューロン内でもカオス現象が存在することが明らかにされた。
よって、ニューロンは全か無かの法則に従わず、
この出力関数によってニューロンのカオスが生じている。
つまり、ニューロンのカオスは全か無かの法則の不成立ゆえに成立している。
これらのことから合原らにより、従来のニューロンに「カオス」の要素を取り入れた
カオスニューロンが考案された[8]。
そのモデルは式(3.2) で表される。
![\begin{displaymath}
x(t+1) = f[A(t)-\alpha\sum_{d=0}^{t}k^d g\{x(t-d)\}-\theta]
\end{displaymath}](img45.png) |
(3.2) |
ここで
は時刻
におけるニューロンの出力、
は時刻
における外部入力の大きさ、
は不応性の項に対するスケーリングファクタ(
)、
は不応性の定数
、
は軸索の伝達関数である。
不応性とはニューロンが興奮した後、一時的にしきい値が上昇する性質のことである。
また、膜電位や不応性は減衰されながらもしばらくの間残る。
関数
はニューロンの内部状態と出力の関係を表し、通常はシグモイド関数を用いる。
その式は式(3.3) で表される。
 |
(3.3) |
は式(3.3) のシグモイド関数の立ち上がりの鋭さを表すパラメータである。
また、シグモイド関数の入力と出力の関係は前述したように 図2.4で表される。
Deguchi Lab.
2013年2月28日