まず、各地点の観測データを用いて気象の予測を行い、予測精度に関する特徴を分析した。 その結果、降水量の少ない地域では、降水の有無の適中率の予測精度が高くなり、 降水量の多い地域では、降水の有無の適中率の予測精度が低くなった。 また、冬に予測精度が高く、春や秋に予測精度が低くなることがわかった。 また、気温の予測誤差は降水の有無の適中率に関係しないことがわかった。
次に、自己組織化マップに入力する観測データ数を変化させると、気象予測がどのようになるか検証した。 その結果、観測データが多すぎることにより予測精度が下がり、 減らしすぎることでも予測精度が下がることが確認された。 また減らすデータとしては、他のデータと相関性があるものや、予測したい気象に関係がなく パターンの分類を複雑にするものがよいことがわかった。
次に、降水量のデータを段階化することで、 降水量の多い地点でも予測が可能であるか検証した。 その結果、降水量のデータを段階化したことで、 降水量の多い地点において降水の有無の適中率の予測精度が上がることがわかった。 しかし、降水量の少ない地点では、予測精度が下がることがわかった。 また、気温の予測誤差が小さくなることが確認できた。
次に、風のデータを直交座標系を用いて表した上で、観測データ数を変化させると、 気象予測がどのようになるか検証した。 その結果、風のデータを直すことで予測精度は向上した。 しかし、周りに対して大きすぎるデータがあると、 データ数を減らすことでその一つに影響されすぎるため、 入力データを正規化していく必要があることがわかった。
以上の結果から、自己組織化マップによるパターン分類及び翌日の気象の学習によって、 気象の予測は可能であり、 また入力データを工夫することで予測精度をあげることが可能であることがわかった。 しかし、前年同様に学習精度はまだ低く実用するには耐え得ない結果であった。
今後の課題として、気温の情報を残したまま、入力データを正規化を行うことで、 自己組織化マップを利用した分類をより正確なものにしていくことが挙げられる。