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4.3 内部状態の推移

     figure271
図 4.2: 入力が同じニューロンの1セット目の内部状態の推移
図 4.1: 入力が変化したニューロンの1セット目の内部状態の推移

     figure287
図 4.4: 入力が同じニューロンの3セット目の内部状態の推移
図 4.3: 入力が変化したニューロンの3セット目の内部状態の推移

本学習法は、個々のニューロンが単独で自分の内部状態によって判断を行ない学習を行なう。そのため、個々のニューロンの結合荷重の変化は一様ではなく、個々のニューロンの内部状態の推移も一様ではない。そこで、未知・既知パターンを入力したときの二つのニューロンの内部状態である各項の推移を図4.14.24.34.4に示す。図4.14.3は前のパターンと新しく入力するパターンのニューロンへの入力が違う符合の内部状態の推移で、図4.24.4は入力が同じ符合の内部状態の推移である。ネットワークには6個のパターンを学習させて、1個のパターンにつき100回入力を行ない、それを全てのパターンで行ない1セットとし、3セット行なった。図は同じパターンの1セット目と3セット目のニューロンの内部状態の推移である。図4.14.2が1セット目で、図4.34.4が3セット目である。

4.1は6番目のパターンを1回目に入力しているときの、あるニューロンの内部状態の推移である。ネットワークは最初、時間加算の影響から新しいパターンが入力されても前のパターンを出力する。そのため最初のうち不応性項は飽和状態から変化しない。しかし、ある程度入力回数が経過して外部入力項がニューロンへ入力された符合と一致すると、外部入力項と相互結合項と不応性項の和の符合が変わり出力が変化する。また同じ入力回数あたりで、他のニューロンでも同様に出力の変化がおこり、その影響で相互結合項が変化する。そして、ニューロンの内部状態に学習条件が成立するようになり、結合荷重を変化させて学習が行なわれる。図より相互結合項が、外部入力項と同じ符合で不応性項よりも大きくなるように推移していることが分かる。 また図4.2は、前のパターンと新しく入力するパターンのニューロンへの入力が同じ符合のニューロンの内部状態の推移である。そのため新たなパターンを入力しても外部入力項、不応性項は飽和状態のまま変化しない。しかし、他のニューロンの出力は変化するため、相互結合項はその影響により変化する。そしてニューロンの内部状態に学習条件が成立するようになり結合荷重を変化させ学習が行なわれる。図より相互結合項が不応性項よりも大きくなるように推移していることが分かる。

4.3は図4.1のニューロンの3セット目の内部状態で、相互結合項が素早く推移して学習条件がほとんど成立せず、学習がほとんど行なわれなかった。 また図4.4は図4.2のニューロンの3セット目の内部状態で、このニューロンは相互結合項もほとんど変化せず、学習が行なわれなかった。

これらより前回の2セットでこのパターンは学習され既知パターンとなっていることが分かる。既知パターンが入力されると、ネットワークはそのパターンを学習しているので、相互結合項は素早く外部入力項と同じ符合で不応性項より大きくなる。これらより、3セット目ではネットワークは未知パターンを学習して既知パターンとして動作していることが分かる。



Deguchi Toshinori
Wed Jul 12 09:07:09 JST 2000