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4.2 本研究の学習法

  本研究では、新たに個々のニューロンが単独で自分の内部状態から判断して他のニューロンとの結合荷重を変化させて学習を行なう学習法を提案する。 この学習法は、個々のニューロンの内部状態が学習条件を満たしている場合のみ、そのニューロンの結合荷重を変化させ学習を行なう。学習条件は式(4.1)で表される。

  equation249

本研究で使用したカオスニューラルネットワークのカオスニューロンは、ニューロンの内部状態を式(3.5)のように外部入力項 tex2html_wrap_inline1460 、相互結合項 tex2html_wrap_inline1462 、不応性項 tex2html_wrap_inline1464 の和としている。カオスニューラルネットワークに既知パターンが入力されると、ニューロンの内部状態は、外部入力項と相互結合項の符合が同じになり、相互結合項の値もある大きさを持っている。しかし、未知パターンが入力されると、外部入力項と相互結合項の符合が同じではないニューロンもあり、相互結合項の値も小さい。そこでこの学習条件では、個々のニューロンが自分の内部状態の相互結合項が、外部入力項と同じ符合で不応性項より大きな値になるまで結合荷重を変化させる。なぜなら、学習するということは次にそのパターンが入力された時に、すばやくそのパターンを想起するようにニューロン間の結合荷重を変化させることである。結合荷重の変化は相互結合項のみ影響を与えるので、相互結合の項が外部入力の項と同じ符合で不応性項より大きな値になるまで結合荷重を変化させれば、ネットワーク全体のエネルギーの極小点に向かおうとする相互結合の力と、外部入力項による入力されたパターンに近付こうとする力が同じ向きに働くようになるために、次にそのパターンが入力された時にはすばやくそのパターンを想起することができるようになる。

本学習法では学習条件を満たしているニューロンのみ結合荷重を変化させる。 i 番目のニューロンの j 番目のニューロンからの出力に掛かる結合荷重 tex2html_wrap_inline1434 の変化は式(4.2)で表される。i 番目のニューロンの外部入力項と j 番目のニューロンの出力の積が、正なら結合荷重値を+0.05し、負なら-0.05する。結合荷重値 tex2html_wrap_inline1434 が正の符合であれば、プラスすることで j 番目のニューロンとの結合を強め、マイナスすることで弱めることになる。結合荷重値が負の符合であれば、プラスすることで j 番目のニューロンとの結合を弱め、マイナスすることで強めることになる。これを繰り返すことによりネットワークは入力パターンを少しずつ学習することができる。

  equation256



Deguchi Toshinori
Wed Jul 12 09:07:09 JST 2000