next up previous contents
Next: 6.2 実験モデル Up: 第6章 計算機シミュレーション Previous: 第6章 計算機シミュレーション

6.1 目的

従来の連想記憶モデルの多くは、学習過程と想起過程とが分離されている。しかし、脳においての学習と想起とは分離されたものではないと考える方が自然である。また、ネットワークに記憶させるパターンがあらかじめ全てわかっているとは限らない。そこで、既知のパターンが入力されるとそれを想起し、未知パターンが入力されると新しいパターンとして学習するネットワークを構築することは工学的にも有用であると考えられる。

カオスニューラルネットワークに継続的にパターンを入力することにより、既知パターンが与えられた時にはそれを想起し、未知パターンに対しては学習することができる。そのモデルとして長名・服部・萩原らが提案した学習法がある。その学習法は、5.1節で述べたように、ネットワーク内の全てのニューロンの内部状態の情報を集めて学習の判断を行ない、一度に学習を行なう広域的な学習法である。そこで、本章では4.2節で提案した、個々のニューロンが単独で自分の内部状態から判断して学習を行なう局所的な学習法と比較・検討する。また渡辺・合原・近藤らが提案した局所的な学習法もある。この学習法を正確に再現することができなかったが、新たに渡辺らの学習法の要素であるしきい値を使用した学習条件によるネットワークを作成し、比較・検討する。また、本研究で提案した学習法の性能評価を行ない、有効性を示す。



Deguchi Toshinori
Wed Jul 12 09:07:09 JST 2000