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実験3の結果

本実験結果を図 5.8に示す。図 5.8を見て分かるように、入力パターンの要素の固定率を増加させると最大完全学習数はほぼ線形に減少している。この結果は、当初の予想と大きく異なるものとなった。ここで、素子数200で固定率50%の場合の最大完全学習数は84である。それに対し、素子数100で固定率0%の場合の最大完全学習数は90であり、同数に近いことが分かる。 また、素子数100で固定率50%の場合の最大完全学習数は40であるのに対し、過去の研究[10]より素子数50%で固定率0%の場合は、最大完全学習数は47であることが分かっており、こちらも近い値となっている。

図 5.8: 固定率 - 最大完全学習数
\includegraphics[scale=0.9]{Data/fix100-200-300.eps}

これらの結果から、入力パターンの要素を固定することで、その固定した要素に対応したネットワークのニューロンが、無いに等しい状態になっていると考えられる。 よって、5.4.1節から、パターン同士が似ている方が学習が成功しやすいという見解が得られたが、 それは必ずしも正しいとは言えないということが分かる。 全ての入力パターンで要素を固定すると、パターン同士がいくら似ていても本実験のように学習能力が低下してしまうからである。 これは、固定した要素に対応したニューロンの出力が1か$ -1$ に近い値で固定されてしまうことが原因であると考えられる。そのように出力が固定されると、入力パターンを想起する際に、そのニューロンではどのようなパターンを想起するべきかの判断ができない。つまり、その他のニューロンのみでその判断を行うことになるため、固定した要素に対応したニューロンは無いに等しい状態になっていると考えられる。



Deguchi Lab. 2012年3月12日