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5.3.2 ランダムパターンによる学習

アルファベットのパターンを使用すると、IやTなど似ているパターンが多いためパターン間の相関が大きくなる。そこで、パターンの1、-1をランダムに決定し、相関の小さいランダムパターンを使用してネットワーク自体の特性を得る。使用するランダムパターンは黒の数を変えたものをいくつか用意した。 この実験では、どれだけ多くのパターンを学習することができるか、また 黒の数による学習の違いを調べる。

塗りつぶす個数を決めて塗りつぶす場所はランダムに決められている。パターンを入力する時には1つのマスを1つのニューロンに入力し、黒の点のマスを-1、黒に塗りつぶされたマスを+1としてニューロンへ入力する。今回の実験では入力パターンに黒い部分を10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個の7種類用意した。図5.5 は入力パターンの一例である。

   figure301
図 5.5: 入力パターンの例

繰り返し回数を変化させ学習を行なったときの結果が図5.6 のようになった。横軸は学習の繰り返し回数になり、縦軸は学習させたパターンをすべて学習できた最大の個数である。

アルファベットを学習させたときと同じようにランダムパターンを学習させた場合も繰り返し回数を増やすことによって学習成功個数が増加している。その、学習成功個数は黒の数によって違った増加のしかたになっている。

これを分かりやすくしたものが、図5.7 、図5.8 、図5.9 である。繰り返し回数が10回のときは図5.7 にあるように黒の個数が少ないものと多いものが他のものよりも学習成功個数が少なくなっている。そして、繰り返し回数が20回になると、図5.8 にあるようにその差が少しづつ縮まっていく。そして、繰り返し回数が50回になると、図5.9 にあるように学習成功個数は逆転して黒の数が少ないものと多いものが多く成功している。

これらのことから分かるのは、相関が大きいものは小さいものに比べて、少ない学習でより多くのパターンを学習することができ、また、相関が小さいものは繰り返し回数が大きくなったときには単位学習回数あたりの学習できるパターン数が多くなっている。つまり、このランダムパターンの学習では相関が大きいものは学習回数の少ないときの学習が得意で、相関が小さいものは学習回数が大きくなったときの学習が得意であることが分かる。

   figure315
図 5.6: 学習回数に対する学習可能個数

   figure322
図 5.7: 10回における学習個数

   figure329
図 5.8: 20回における学習個数

   figure336
図 5.9: 50回における学習個数



Deguchi Toshinori
Mon Feb 26 15:23:22 JST 2001