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5.3.5 学習過程の実験

ランダムパターンの学習実験において相関値の違いにより、学習速度が変わると 思われていたのが、アルファベットの学習過程では、学習の速度は相関の大小によらずに、ばらばらであることが分かった。

   figure365
図 5.11: 意図的に作成したパターン

   figure372
図 5.12: 意図的に作成したパターンのの学習過程

そこで、学習の仕組みを調べるために、 相関の小さいパターン7種類(図5.11 (A)と、 そのうちの一つのパターン(このパターンをaパターンとする)にもう一つの パターン(これをbパターンとし、残りの5つのパターンをcパターンとする)の 黒の位置に4つづつ順に並べそれをずらした、 aパターンに非常に似たパターンを7種類(図5.11 (B)dパターン とする)を用意した。 これらのパターンは似ているパターンが存在すると、どのように学習が行なわれていくかを調べるために意図的に作成した。

a、b、cパターンだけで、学習を行なった場合には、すべてのパターンが同じ学習回数で学習に成功することができた。これは、すべてのパターンがすべてのパターンに対して、相関が同じであるので、妥当なことであると思われる。 a、b、c、dパターンすべてを学習させその時の学習の結果が図5.12 のようになった。最初に学習できたのがaパターン。その後に、bパターンが学習できた。そしてcパターンが学習できた。その後、学習を繰り返してもdパターンは学習することができなかった。

この結果から考えられることは、相関の大小の違いで学習が行なわれていく のではなく、似たパターンのグループで学習が行なわれていくと思われる。グループの中でパターンの数が多い、または相関が大きいものほどグループ内の学習が速く進む。その中で一つ学習ができるとそのグループ内の他のパターンの学習は進みにくくなる。また、このグループは重なることができる。

a、b、c、dパターンの学習では、グループはaパターンとdパターンが一つのグループ。そして、bパターンと、dパターンがグループになり。cパターンはそれぞれがグループになる。a、dパターンのグループは相関が大きく、数も多いのでグループ内の学習は速く進む。そして、その中でも全体での相関が小さいaパターンが最初に学習される。このときに、同じグループにいるbパターンの学習は行なわれにくくなる。そして、次に学習されるのがb、dパターンのグループのbパターンになる。 そして、他と相関が非常に少ないbパターンの学習ができる。dパターンは 非常にaパターンと似ているため学習回数を多くしても学習することができなかった。似過ぎているパターンが多い場合にはそのパターンは学習することができない。あるいは、学習するのに多く時間がかかると思われる。

パターンが似ているものが多い場合にはそのグループ内での学習は進む。 また、条件は分かっていないがこの中で学習されやすいパターンはすぐに 学習されることができるが、学習されにくいパターンはなかなか 学習することができないと、考えることができる。

アルファベットパターンにおいての学習では、これらのグループが複雑に絡み合っているためにその学習順をすべて検討することはできないが、学習の速かったUのパターンは80 % 以上似ているパターンが7パターンもある。Uのパターンは学習されやすいパターンであったためすぐに学習されることができた。また、学習されにくいものとしては相関が大きいm,n,uのグループは学習されなかった。同様にE,F,Rのパターンも似ているため学習されなかったと思われる。



Deguchi Toshinori
Mon Feb 26 15:23:22 JST 2001