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結果

素子数100のネットワークにおいて、結合荷重 tex2html_wrap_inline1610 を0.0375、0.025、0.0125、0.00625と変化させたときの、学習成功数と想起成功数を、それぞれ図 6.1、図 6.2、図 6.3、図 6.4に示す。

   figure383
図 6.1: N = 100、 tex2html_wrap_inline1396 での学習成功数と想起成功数

   figure391
図 6.2: N = 100、 tex2html_wrap_inline1400 での学習成功数と想起成功数

   figure399
図 6.3: N = 100、 tex2html_wrap_inline1404 での学習成功数と想起成功数

   figure407
図 6.4: N = 100、 tex2html_wrap_inline1408 での学習成功数と想起成功数

図 6.2、図 6.3、図 6.4の比較のみによっても、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 が0.025から0.0125、0.00625と減少するにつれて、想起成功数が減少していることが明らかである。しかし、 tex2html_wrap_inline1728 での結果を示した図 5.2と図  6.1tex2html_wrap_inline1396 )、あるいは、図 6.2tex2html_wrap_inline1400 )とを比較しても、どちらがより良い動的想起状態を示しているのかは判然としない。そこで、実験1(5.3節)において素子数と想起成功数の関係について客観的に判断するために用いた最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和を、ここでも用いる。

   figure422
図 6.5: N = 100での最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和

図 6.5は、素子数100での、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を0.05から減少させていったときの、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和を図示したものである。結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1728 については実験1の結果による。

図 6.5から、 tex2html_wrap_inline1610 を0.05から0.0375へと減少させたとき、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和はともに増大しており、想起されるパターンの数は多くなっているといえるが、0.0375から0.025、0.0125、0.00625とさらに減少させたとき、それら全てが減少しており、想起されるパターンの数は少なくなっているといえる。

素子数200のネットワークにおいて、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を0.0375、0.025、0.0125、0.00625と変化させたときの、学習成功数と想起成功数を、それぞれ図 6.6、図 6.7、図 6.8、図 6.9に示す。

   figure436
図 6.6: N = 200、 tex2html_wrap_inline1396 での学習成功数と想起成功数

   figure444
図 6.7: N = 200、 tex2html_wrap_inline1400 での学習成功数と想起成功数

   figure452
図 6.8: N = 200、 tex2html_wrap_inline1404 での学習成功数と想起成功数

   figure460
図 6.9: N = 200、 tex2html_wrap_inline1408 での学習成功数と想起成功数

図 6.7、図 6.8、図 6.9より、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 が0.025から0.0125、0.00625と減少するのにつれて、想起成功数が減少していることが明らかであり、 tex2html_wrap_inline1408 の場合には、想起成功数はほとんどが1である(最後に学習したパターンをしか想起し得ていない)。

   figure471
図 6.10: N = 200での最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和

図 6.10は、素子数200での、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を0.05から減少させていったときの、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和を図示したものである。結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 = 0.05については、実験1の結果による。

図 6.10によって、 tex2html_wrap_inline1400 のときに動的想起状態が最も良好であるといえる。このときの最大想起数、最大完全想起数、想起成功数は、素子数が100の場合において動的想起状態が最も良好であると評価された tex2html_wrap_inline1396 でのそれらよりも、全て大きい。(素子数100での最大想起数は18、最大完全想起数は18、想起成功数の総和は232である。一方、素子数200では、それぞれ、32、32、650である。)

素子数300のネットワークにおいて、結合荷重 tex2html_wrap_inline1610 を0.0375、0.025、0.0125、0.00625と変化させたときの、学習成功数と想起成功数を、それぞれ図 6.11、図 6.12、図 6.13、図 6.14に示す。

   figure485
図 6.11: N = 300、 tex2html_wrap_inline1396 での学習成功数と想起成功数

   figure493
図 6.12: N = 300、 tex2html_wrap_inline1400 での学習成功数と想起成功数

   figure501
図 6.13: N = 300、 tex2html_wrap_inline1404 での学習成功数と想起成功数

   figure509
図 6.14: N = 300、 tex2html_wrap_inline1408 での学習成功数と想起成功数

図 6.11、図 6.12、図 6.13、図 6.14により、 tex2html_wrap_inline1610 が0.0375の場合よりも0.025の場合の方が想起成功数が多いこと、また、 tex2html_wrap_inline1610 が0.0063での想起成功数が、 tex2html_wrap_inline1610 が0.025、0.0125での想起成功数に比して少ないことが明らかであるが、 tex2html_wrap_inline1610 が0.025と0.0125とのどちらがより良い動的想起状態を実現しているかはこれらの図からは不分明である。

   figure521
図 6.15: N = 300での最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和

図 6.15は、素子数300での、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を0.05から減少させていったときの、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和を図示したものである。結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1728 については、実験1の結果による。

tex2html_wrap_inline1400 において最大想起数、最大完全想起数、想起成功数のいづれもが最大となるのは素子数が100、200の場合と同様であるが、 tex2html_wrap_inline1404 との差は素子数が100、200の場合と比べて明瞭ではない。

素子数400のネットワークにおいて、結合荷重 tex2html_wrap_inline1610 を0.0375、0.025、0.0125、0.00625と変化させたときの、学習成功数と想起成功数を、それぞれ図 6.16、図 6.17、図 6.18、図 6.19に示す。

   figure534
図 6.16: N = 400、 tex2html_wrap_inline1396 での学習成功数と想起成功数

   figure542
図 6.17: N = 400、 tex2html_wrap_inline1400 での学習成功数と想起成功数

   figure550
図 6.18: N = 400、 tex2html_wrap_inline1404 での学習成功数と想起成功数

   figure558
図 6.19: N = 400、 tex2html_wrap_inline1408 での学習成功数と想起成功数

図 6.17tex2html_wrap_inline1400 )、図 6.18tex2html_wrap_inline1404 )には、これまでの素子数が100、200、300の場合と比較して、想起成功数と学習成功数の一致が多く見られる、すなわち、素子数400のネットワークにおいて、 tex2html_wrap_inline1610 を0.025、0.0125としたとき、学習した全てのパターンを想起できていることが多い。また、図 6.16、図 6.19により、 tex2html_wrap_inline1610 が0.0375、0.00625のとき、 tex2html_wrap_inline1610 が0.025、0.0125のときに比べて、想起成功数は少ないことがわかる。

   figure570
図 6.20: N = 400での最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和

図 6.20は、素子数400での、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を0.05から減少させていったときの、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和との関係を図示したものである。結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1728 については、実験1の結果による。

図 6.20により、 tex2html_wrap_inline1404 において動的想起状態が最も良好であるとわかる。

以上の結果に共通して、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 を小さくすることで動的想起状態は改善される(より多くのパターンを想起し得るようになる)が、 tex2html_wrap_inline1610 を小さくし過ぎると、動的想起状態はむしろ悪化する(想起し得るパターン数は少なくなる)、ということがいえる。(6.2節に「素子数が400の場合について、結合荷重の変化量が0.00625(0.0125の半分)の場合を調べる必要が生じた」と書いた。これは、素子数が400の場合において結合荷重の変化量を0.0125まで小さくしても動的想起状態が改善されたため、「 tex2html_wrap_inline1610 を小さくし過ぎると、動的想起状態はむしろ悪化する」かどうかを確かめるには、さらに結合荷重の変化量を小さくして調べる必要があった、ということである。)

また、最もよくパターンを想起したときの結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 は、素子数100のときが0.0375、素子数200のときが0.025、素子数300のときが0.025(ただし、 tex2html_wrap_inline1404 での場合と僅差)、素子数400のときが0.0125であった。このことから、最も動的想起状態を改善するような結合荷重の変化量の値は、素子数が多いほど小さくなると予想される。

   figure581
図 6.21: 最大想起数、最大完全想起数、想起成功数の総和と素子数との関係

実験1、および実験2によって、素子数が100、200、300、400のカオスニューラルネットワークにおいて、結合荷重の変化量 tex2html_wrap_inline1610 が0.05、0.0375、0.025、0.0125、0.00625の場合の最大想起数、最大完全想起数、想起成功数が求められた。図 6.21は、素子数が同一のネットワークにおける実験1、および実験2の結果中最大の、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数をそれぞれ示したものである。

図 6.21によれば、素子数が100、200、300、400と増加するにつれて、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数のいづれについても増加している、つまり、動的想起状態が改善されている。

結合荷重の変化量をより細かく変化させた場合について調べていないために、図 6.21に示した結果は所詮正確な「素子数が同一のネットワークにおける」「最大の、最大想起数、最大完全想起数、想起成功数」ではない。しかし、図 6.21によって、適切な結合荷重の変化量の選択がなされた場合、素子数の増加に伴って想起されるパターンの数は増加する(良い動的想起状態を実現できる)、と推断することはあながち見当違いではないように思われる。



Deguchi Lab.