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7.3.1 一対一に対応しない特徴

 

7.2 は、 特徴(1,0)を検索しようとして波を検索した時の例である。 特徴通り、波のパターンを想起している。

実際ならば、 t=24 の後も波を想起し続けるのだが、 プログラムでは同じパターンが5回を超して続けばサーチ終了としている。

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図 7.2: 特徴(1,0)をサーチしようとして波を検索した例

次に特徴(1,0)をサーチしようとして星を検索した例が図 7.3 である。 この場合も特徴と想起したパターンは一致している。 図 7.2 と図 7.3 の異なる点は、 初期パターンであるランダムパターンだけである。 しかしランダムパターンを少し星に近付けても、 星が想起されるとは限らない。 サーチを始めるとニューロンはカオス状態になるためである。 現在想起しているパターンが目的のパターンに近付き、 特徴比較をした時に抑制がかからず、 同じパターンがある程度続けば、サーチ終了である。

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図 7.3: 特徴(1,0)をサーチしようとして星を検索した例

特徴空間について様子を見てみると、 図 7.47.5 となる。

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図 7.4: 波をサーチした時の特徴空間

   figure695
図 7.5: 星をサーチした時の特徴空間

特徴空間とは、 図 6.2 に示す4つのパターンを 表 6.1 、表 7.1 に示すように、 2値の特徴量として割り当てたため、横軸に特徴1をとり、 縦軸に特徴2を取ることによって、 出力される100個のニューロンからなるパターンが 2値の特徴量としてみたとき、どの学習パターンに近いかを一目で 観測できるようにしたものである。 ただし、現在出力されている特徴空間上の1点は、 1つ前に出力された特徴空間上の点と、 直線で結ぶようにして軌跡が残るようにしてある。 また、初期パターンの特徴を四角の枠で囲み、検索完了時の特徴をバツで記してある。 この特徴空間の出力によって、完全に近いカオス状態を実現しているか を確認することが容易にできる。

7.4 、図 7.5 は、 それぞれ図 7.2 、図 7.3 を 特徴空間で表したものである。 どちらも特徴(1,0)に収束しているが、 パターンはそれぞれ、波、星と、 異なるパターンを想起している。 これにより、 パターンと特徴を一対一に対応させなくてもサーチすることができることが分かる。 また、一つの特徴で両方のパターンが検索できるため、 ``特徴による検索''が行なわれているといえる。

   figure709
図 7.6: 特徴(1,1)をサーチしようとした時の特徴空間

7.6 は、 特徴(1,1)をサーチしようとし、 t=1000 の時点の結果である。 学習させていないため、 どのパターンになっても特徴(1,1)付近には近付いていないことが分かる。

学習していない特徴に対しては当然のことながら、サーチできなかった。 しかし同じ特徴を持つものが複数あろうと、どんな特徴であろうと、 サーチできることが分かった。



Deguchi Toshinori
1996年11月14日 (木) 12時50分06秒 JST