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入力をずらした場合

 

次の実験として,入力に与えるものを,第一音目の教師信号ではなく,2音目, 3音目・・・の教師信号の値を入力することを試みた。 そのようにして,入力の信号をずらして想起を行い,想起された曲の位相のずれを 測定した。その結果は,図 6.3 のグラフに示されるものとなった。 横軸は入力に第何音目の教師信号を用いたかで,縦軸はその時の想起の位相のずれである。

   figure284
図 6.3: 入力のずれに対する位相差

ネットワーク2では入力のずれに対する位相差はほとんど生じていないのに対し, ネットワーク1ではプラスの値が多くみられ,ネットワーク3ではマイナスが多い。 このように学習後のネットワークの種類によって,想起に生じる位相差の特性は 異なるものとなっていた。 学習後のネットワークの種類といっても素子数は同じなので, 実験で使用した3種類のネットワークの違いは各素子の結合荷重と閾値である。 また第一音目で入力は同じでも内部記憶層の値は学習終了時の状態を用いているので, これもネットワークによって違う点である。

この実験結果より入力のずれが想起に与える影響は小さいと考えられる。 また同じ教師信号を与えて学習を行ったネットワークでも結合荷重,閾値,そして 内部状態によって想起のプロセスは大きく異なることがわかる。

以上行ったの実験結果より,入力に変化を持たせても想起が成功する理由は, 内部記憶層の値が中間層への入力としてあるため,これが想起の判断のもとと なっているからだと考えられる。 そこで内部記憶層の素子について,その値に変化を持たせ想起を行い, どのような結果となるのか調べてみた。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月19日 金曜日 16時33分51秒 JST