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実験結果

遅れ時間を変化させた時の計算時間の変化を グラフにしたものを図6.5に示す。 このとき、内部記憶素子数は3、中間素子数は2の時の結果である。

図 6.5: 遅れ時間の変化による計算時間の変化
\includegraphics[scale=1.1]{delay_time.eps}

6.5を見て分かるように、遅れ時間を増やすと、 計算時間は線形に増加していることが分かる。

つまり、遅れ時間が小さい時に学習に成功した方がより効率的な学習が出来ると言える。 また、この図は内部記憶素子数は3、中間素子数は2の時の結果であるが、 内部記憶素子数、及び中間素子数が他の数であったときもかかった時間は 違うが、変化の仕方は同様であった。

次に、中間素子数を変化させた時の計算時間の変化を グラフにしたものを図6.6に示す。 このとき、内部記憶素子数は3、遅れ時間は4の時の結果である。

図 6.6: 中間素子数の変化による計算時間の変化
\includegraphics[scale=1.1]{munit_time.eps}

6.6から分かるように中間素子数を増やすと、 大体線形に時間がかかっていることが分かる。 つまり、遅れ時間の時と同様に中間素子数が少ない時に学習に成功した方が より効率的な学習が出来ると言える。 これも先ほどと同様に、内部記憶素子数及び遅れ時間が他の数の場合でも 同様の変化が見られた。

最後に、内部記憶素子数を変化させた時の計算時間の変化を グラフにしたものを図6.7に示す。 このとき、中間素子数は2、遅れ時間は4の時である。

図 6.7: 内部記憶素子数の変化による計算時間の変化
\includegraphics[scale=1.1]{memunit_time.eps}

6.7から分かるように内部記憶素子数を増やすと、 大体線形に時間がかかっていることが分かる。 つまり、上記と同様に内部記憶素子数が少ない時に学習に成功した方が より効率的な学習が出来ると言える。 これも先ほどと同様に、中間素子数及び遅れ時間が他の数の場合でも 同様の変化が見られた。

これらの図6.56.66.7から、 内部記憶素子数、中間素子数、遅れ時間が多いほど計算時間が多くかかることが検証できた。 どれもパラメータが増えるにつれて計算時間は線形的に増加していくことが分かった。 同じように学習が成功するならば時間のかからない方が効率的であるため、 これらの結果から、遅れ時間・各素子数が小さい時に学習が成功するのが 最も効率的であると言える。 しかし、それぞれのパラメータによって増やしたときの時間の増加分が違うため、 どのパラメータから減らすのか、もしくは増やすのかという優劣が判断できない。 そこで、最小二乗法を用いてそれぞれパラメータの傾きを求め、 パラメータが一つ増えるたびにどのくらいの時間変化があるかを調べた。 その結果を表6.4に示す。この結果は、 図6.56.66.7のときの結果である。


表 6.4: パラメータ別の傾き
遅れ時間 内部記憶素子数  中間素子数 
0.53 1.13 1.90

6.4から分かるように、中間素子数の傾きが内部記憶素子数の傾きよりも大きく、 全てのパラメータの中で一番大きい。 つまり、中間素子数を増やすと一番時間がかかってしまうと言うことである。 よって、効率よく学習をさせるとするならば、中間素子数を多くするよりも 内部記憶素子数を多くし、ネットワークを構成した方が効率が良いと言える。 また、遅れ時間の傾きが一番小さいので、 素子を減らして遅れ時間を増やす方が効率が良くなる場合もあると言える。

6.1.2項では、素子数の多いネットワークを用いて学習をさせる方が 学習が成功する確率が高くなると述べた。しかし、効率を考慮する場合には 素子数の多いネットワークを用いることは、あまり効率がいいとは言えない。 効率を考える場合には、学習に成功する素子数及び遅れ時間が分かってる上でその中から 1番小さなものを選択する必要があると言える。また、各素子や遅れ時間の増減の割合から、 最も効率が良いものを選ぶと良い。



Deguchi Lab. 2011年3月3日