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4.3 カオスニューラルネットワークのモデル

 

   figure192
図 4.3: カオスニューロンのモデル図

カオスニューロンを構成要素とするニューラルネットワークを カオスニューラルネットワーク(chaotic neural networks)と呼ぶ。 このモデル図を図 4.3 に示す。

カオスニューラルネットワークのモデルの構成要素としてのニューロンモデルを 定式化するにあたって、 ``ホップフィールドのニューラルネットワークを典型例とする、 そのニューラルネット内のニューロンからのフィードバック入力''を考慮すると、 カオスニューロンモデルのダイナミクスは、次式のように表わされる。

  eqnarray200

ここで、各変数、定数は、

tex2html_wrap_inline1438
: 時刻 t+1 でのニューロン i の出力値、 出力は1から0の間の数値であり、 また、時間は離散的に刻まれる。
tex2html_wrap_inline1444
: 時刻 t のニューロン j の出力に対するニューロン i への フィードバック入力。
N
: ニューロンへのフィードバック入力線の総数。
tex2html_wrap_inline1454
: ニューロン j からニューロン i へのシナプス結合の強さ。
tex2html_wrap_inline1348
: 相互結合入力に関する記憶の減衰定数( tex2html_wrap_inline1462 )。
tex2html_wrap_inline1350
: 不応性に関する減衰定数( tex2html_wrap_inline1466 )。
g
: ニューロンの出力と不応性の大きさとの関係を与える関数。
tex2html_wrap_inline1470
: ニューロンのしきい値。
tex2html_wrap_inline1472
: 定数パラメータ。

となる。また、ニューロンの内部状態 tex2html_wrap_inline1474tex2html_wrap_inline1476 を 式(4.8),式(4.9)のように定義すると、 式(4.7)は式(4.10)となる。

    eqnarray219

更に、関数 g , h を恒等関数(g(x)=x)として扱うと、 式(4.8)(4.9)は 式(4.11)(4.12)のように単純化される。

   eqnarray239

式(4.10)(4.11)(4.12)は、神経細胞の持つ空間的加算、 連続的しきい値作用及び、不応性をすべて持ち合わせ、 既存のニューラルネットワークモデルの多くをそのパラメータや関数の簡単化 によって内含する``カオスニューロンのモデル''である。



Deguchi Toshinori
1997年03月04日 (火) 08時34分02秒 JST