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6.4 シナプス前抑制による制御

 

カオス状態を制御するには,カオスニューロンの内部定数 tex2html_wrap_inline2619 を, 外部から変化させることで可能である。 しかし,シナプス前抑制では,外部から手を入れることなく, 直接ニューロンのシナプス結合を変化させることにより, 制御を行なうことが可能である。 そこで,本研究では,このシナプス前抑制による制御を採り入れる。

シナプスとは,神経細胞と神経細胞の結合部分のことをいい, 一般に,次式のようにモデル化される。

  eqnarray608

次に,シナプス前抑制とは, 実際の神経回路網にも観られるもので,図 6.2 のように, 興奮性シナプスのシナプス前終末を脱分極させ, 興奮性シナプスから放出される信号の量を制御することにより 抑制をかけるものである[9]。

   figure619
図 6.2: シナプス前抑制

これは, 式 (6.2) のシナプス結合荷重 w を制御するものと考えられる。 また,本来シナプス前抑制は,興奮性シナプスのみに働くものであるが, 本研究においては,興奮性,抑制性に問わず一様に働くものとし, 次式のようにモデル化した。

  eqnarray627

シナプス前抑制関数 tex2html_wrap_inline2623 は,式 (6.4),図 6.3 の ような階段関数を用いた。 tex2html_wrap_inline2625 のときカオス状態, tex2html_wrap_inline2627 のとき 自己想起状態となる。

   figure638
図 6.3: シナプス前抑制関数

  eqnarray645

次節では,カオスニューロンにシナプス前抑制関数を使ったモデルを説明する。



Deguchi Toshinori
1996年09月05日 (木) 11時50分24秒 JST