カオス系のニューラルネットワークのニューロンモデルには, 第 4.3 節で説明した, 式 (4.4) の内部状態を式 (4.5) に置き換えた カオスニューロンに,前節で説明した,シナプス前抑制関数を加えたものである。 これは,次式のようにモデル化され,図 6.1 の 破線内部を意味する。
ここで,自己相関学習により,昨年までの研究で用いた,図 1.1 の 特殊なパターンを学習させ,この式を使って想起させる。 シナプス前抑制を加え続けると, 不応性のためネットワークの状態は平衡点にとどまることはなく, 非周期的に様々なパターンを想起していく。
このカオス状態を実現した例を図 6.4 に示す[2]。 学習させたパターンや,その反転(白黒を入れ換えたもの)パターンを非周期的に 想起している。 この例のように記憶したパターンをすべて早い時間で想起できるカオス状態は, サーチアクセスを行う上で特に理想的である。
このカオス的な連想ダイナミクス(カオス状態)を実現するニューラルネットワーク は,津田,奈良,Davis らによっても提案されている[10]。