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6.4 シナプス前抑制による制御

 

カオスニューロンのカオス状態を制御するには, カオスニューロンの内部定数を外部から変化させることで可能である。 しかし,シナプス前抑制では,外部から手を入れることなく, 直接ニューロンのシナプス結合を変化させることにより, 制御を行うことが可能である。 そこで,本研究では,このシナプス前抑制による制御を採用する。

シナプスとは,神経細胞と神経細胞の結合部分のことをいい, 一般に,次式のようにモデル化される。

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次に,シナプス前抑制とは, 実際の神経回路網にも観られるもので,図 6.2 のように, 興奮性シナプスのシナプス前終末を脱分極させ, 興奮性シナプスから放出される信号の量を制御することにより 抑制をかけるものである[12]。

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図 6.2: シナプス前抑制

これは, 式 (6.2) のシナプス結合荷重 w を制御するものと考えられる。 また,本来シナプス前抑制は,興奮性シナプスのみに働くものであるが, 本研究においては,興奮性,抑制性に問わず一様に働くものとし, 次式のようにモデル化した。

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シナプス前抑制関数 tex2html_wrap_inline2752 は,比較的サーチアクセスの検索成功率が高い, 式 (6.4), 図 6.3 のような階段関数を用いた[2]。 tex2html_wrap_inline2754 のときカオス状態, tex2html_wrap_inline2756 のとき 自己想起状態となる。

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図 6.3: シナプス前抑制関数

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次節では,カオスニューロンにシナプス前抑制関数を使ったモデルを説明する。



Deguchi Toshinori
1998年03月12日 (木) 16時16分01秒 JST