サーチアクセスに用いるカオス系のニューラルネットワークのニューロンモデルは, 第 4.3 節で説明した,式 (4.4) の内部状態を 式 (4.6) に置き換え, 前節で説明したシナプス前抑制関数 を考慮に入れたもので, 次式のように表される。 なお,この式は図 6.1 の破線内部を意味する。
ここで,Z(t) は離散的時間 t におけるシナプス前抑制入力信号である。 また,しきい値 はどの i に対しても一定として扱う ( )。
この式から,従来のニューロンは, カオスニューロンの内部定数 , , を 0 にし, 出力関数を階段関数 ( ) としたものであることが わかる[10]。 したがって,ニューロンのカオスは, この内部定数と「全か無かの法則」(入出力の値が 0 か 1 をとること)の不成立 ゆえに成立する[6]。
ここで,自己相関学習により,図 1.1 の特殊なパターンを学習させ, この式を使って想起させた例を図 6.4 に示す[2]。 シナプス前抑制を加え続けると, 不応性のためネットワークの状態は平衡点にとどまることはなく, 非周期的に様々なパターンを想起していく。 したがってこの図のように, 学習させたパターンやその反転(白黒を入れ換えたもの)パターンを, 非周期的に想起することができる。 この例のように記憶したパターンをすべて早い時間で想起できるカオス状態は, サーチアクセスを行う上で特に理想的である。