ここで教師信号を受けとらない素子の出力すなわち内部記憶を調べるため、 横軸をネットワークのステップ、縦軸を各素子の出力としてプロットしてみた。 そのうち折り曲げ模様の写像において一番目の素子の出力と 七番目の素子の出力をプロットしたのが図5.13である。 これを見ると七番目の素子は一番目の素子の出力、すなわちx軸の値と 反対の挙動を示していることがわかる。 また、エノン写像において二番目の素子の出力と 六番目の素子の出力をプロットしたのが図5.14である。 六番目の素子の出力は二番目の素子の出力、すなわちy軸の値と 同様の挙動を示していることがわかる。 また、折り曲げ模様の写像において三番目の素子の出力と 八番目の素子の出力をプロットしたのが図5.15である。 この例においては三番目の素子と八番目の素子の出力が逆の 挙動を示していることが見てとれる。
先ほどの例から折り曲げ模様の写像において縦軸は変わらず二番目の素子の 出力だが、横軸を一番目の素子ではなく七番目の素子の出力として プロットしてみた。その結果が図5.16である。 同様にエノン写像においても横軸を七番目の素子、 縦軸を二番目の素子の出力としてプロットしてみると 図5.17となった。 折り曲げ模様の写像においては教師信号を反転した図になっている。 すなわち六番目の素子は教師信号と逆の挙動を示していることがわかる。 またエノン写像において縦軸を六番目の素子、横軸は変わらず一番目の 素子としてプロットした結果が図5.18である。 ゆがんではいるものの教師信号に近い挙動を示している。
このように多くの素子においていずれかの教師信号、もしくは 他の素子と相関のある挙動を示している。 内部記憶を持つネットワークにおいて、これらの値の変化を見るかぎりでは なんらかの学習を行なっているとは思われる。 これに関しては今後の研究に期待したい。