いま任意の次実係数代数方程式
定理5.2 のもとに
がフルビッツ多項式であるためには,
がすべて正でなければならない.
証明 がフルビッツ多項式であるとすると,(5.19)式の根は,
および
で与えられる.ただし,各
および
は正の実数であり,
である.このとき
上の定理5.2の逆は成立しない.すなわち,
がすべて正であっても
はフルビッツ多項式になるとは限らない.このことに対する反例はすぐに見つかる.(例えば
が教科書にある.)そこで,次に
がフルビッツ多項式であるための必要十分条件を与える.いま,(5.19)式に対して
行列
を
定理5.3 (フルビッツの安定条件)のもとに
がフルビッツ多項式であるための必要十分条件は
証明は時間の関係上省略する.
古典制御理論においては,通常図5.3のような1入力1出力システムの安定性を判別するために,特性方程式
例5.4 システム
なお,計算量の点からは,定理5.3よりもその変形である次の定理が優れている.
定理5.4 のもとに
がフルビッツ多項式であるための必要十分条件は,次の2条件が成立することである.
この定理を適用する場合,まず条件1.を調べ,これが満たされていなければシステムは安定ではない.条件1.が満たされている場合のみ条件2.を調べる.が偶数ならば2.(b)を用いれば計算量がより少なくてすむ.例えば例5.4の場合には,
,より条件1.が満たされており,
から2.(b)をとって
の値のみをしれべればよく,
の計算は必要ない.