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5.2.3 実験結果及び考察

前述したネットワークを用いて周期パターンをそれぞれ 5000回,10000回学習させた結果を次に示す。 図5.25.3は周期パターンをそれぞれ 5000回学習させたものと 10000回学習させたものの結果である。

双方の結果に共通していえることは、``1''が入力された時に、それが周期パターンであろうと単独で与えられていようとある程度高い出力が与えられるという点である。 このことは、入力に``1''が与えられた時に、続けて``1''が与えられたとき発火するために中間層が組織化されているため、出力にその影響が及んだと思われる。 また、周期パターンを検出した後に入力に``0''が与えられ、そのすぐ後に``1''が入力される場合も高い出力値になっている。この理由を検討する前に、周期パターンが連続して与えられた場合に出力が高くなっていくことについて述べなければならない。

ネットワークは、``1''が連続して与えられた時のみ発火するように学習されている。しかし、その学習はまだ途中であり、中間層は完全に組織化されているわけではない。そのため、出力層を発火させるという特徴が多ければ多いほど出力はより高い値となっていくわけである。

従って、周期パターンが連続して入力された後に``0''が一つしか与えられなくては、中間層は``高い値を出す''という情報を少ししか緩和できないのである。

その顕著な例が、グラフの左側の、三つの周期パターンを検出した後の所である。 10000回学習させた結果ではかろうじて発火してはいないものの、5000回学習させた結果では発火してしまっている。 このことは、学習回数は多い方がネットワークの性能を向上させるということを示している。その理由としては、バックプロパゲーション学習において学習回数は、多ければ多いほど誤差関数の極小値に近付いていくからである。誤差関数は極小値付近で非常に緩やかな谷底になることは前章で述べた通りだが、回数を増やすことによって誤差は少しずつ小さくなっていく。

ここでは、 5000回学習と 10000回学習の結果のみを示して考察及び検討を行なったが、学習回数をさらに増やせば、周期パターンの検出という目的を満足させるに十分な結果が得られることは明確である。

   figure317
図 5.2: 実験1    5000回学習結果

   figure326
図 5.3: 実験1    10000回学習結果



Deguchi Toshinori
1996年12月18日 (水) 11時08分12秒 JST