2.2節のモデルのように、ニューロンの活動電位生成過程が 全か無かの法則に従うことは常識であり、これまではそれに基づいてモデルが 作成されてきた。 しかし、これは伝搬性活動電位に関するものであり、空間固定の状態では、実際の 活動電位生成過程は、厳密には全か無の法則には従わず、急峻ではあるが連続的に 応答の大きさが変化する。 つまり、ニューロンのカオスは、全か無かの法則の不成立のために成立するのである。
合原らは Caianiello-Sato-Nagumo モデルの出力関数を連続関数に変更した カオスニューロンモデルを提案している。 このモデルを式 (3.2)に示す。
ここで、x(t)は時刻tにおける出力、A(t)は時刻tにおける入力刺激の大きさ、
は不応性のスケーリングファクタ(
)、kは
不応性の時間減衰定数
、
はしきい値を表す。
出力関数fは図 3.4のようなシグモイド関数を用いる。
この関数は式 (3.3)で表される。
この式において、uが入力値、 は急峻さを決めるパラメータである。