次に二つのニューロンによる同期ニューラルネットワークよりも正確に周期パルスを 検出するために、図5.13の様なネットワークを考える。
図 5.13: 複数のニューロンによる同期ニューラルネットワーク
この同期ニューラルネットワークはニューロン から
、
ニューロン
から
と
ニューロン
〜
までをそれぞれ信号の到達時間を10として結合する。
閾値はニューロン
が1でそれ以外のニューロンは2である。
個々のニューロンの出力は入力をs(t)で表すと
と表される。ニューロン は閾値が1であるので外部からパルスが入力されれば、
発火しパルスを出力する。このパルスは時間が10だけ遅れてニューロン
に
到達する(式5.6)。つまりニューロン
からニューロン
に
到達する信号は時間が10だけ遅れた入力と等価である(5.7)。
ニューロン の出力は式5.8の様に表され、式5.9の
様に書き換えることが出来る。
同様にi番目のニューロンの出力は式5.10の様に表される。
式5.10の意味するところは、間隔が10のパルスが連続してi回 入力されなければ、ニューロンiは発火しないということである。
図5.1の二つニューロンによる同期ニューラルネットワークとの違いを 調べるため、図5.13の同期ニューラルネットワークにおいてn=4とし、 周期4〜11の8通りの信号を入力する。 実験した結果を 図5.14〜5.21に示す。
図5.14〜5.21を 図5.2〜5.9と比べると、どちらもパルスが出力された 場合の入力の周期は5と10である。 しかし図5.15、5.20と 図5.3、5.8ではパルスが出力されるタイミングが に違いがあることがわかる。例えば入力の周期が10の場合を考えると、 図5.8ではパルスが出力し始めるのはt=10であるが、 図5.20ではt=30である。入力の周期が5の場合も同様に 図5.3より図5.15の方が遅い。
次に、周期が異なる信号を合成したものを入力とし、その出力を図5.22 〜5.24に示す。
図5.22〜5.24を 図5.10〜5.12と比べると、この場合も パルスが出力されるタイミングが遅れていることがわかる。 図5.11ではt=10からパルスが出力されているのに対し、 図5.23でパルスが出力されるのはt=30からである。 また、図5.10ではt=24とt=70にパルスが出力されているが、 図5.22ではその様なパルスは出力されていない。
これらの結果においてパルスが出力されるタイミングが遅れる原因は、
ニューロンの数が増えて、図5.13の同期ニューラルネットワークの
最後のニューロン(ここではニューロン )
まで信号が到達するのに時間がかかる様になったためである。
同期ニューラルネットワーク全体の出力をニューロン
の出力としてあるため、
ニューロン
に信号が到達するまでには
の時間が絶対に必要である。
これはどうしても避けられない遅れとなる。
また単体のパルスが出力されなくなったのは、パルス間隔が10の信号によって
ニューロン は発火するが、続いてニューロン
が発火するためには
さらに間隔が10の信号が入力されなければならないからである。
このように、複数のニューロンからなる同期ニューラルネットワークでは、 二つのニューロンからなる同期ニューラルネットワークに比べ、 検出の信頼性が向上したが、その分出力が遅れる、と言える。