まず、二つのニューロンからなる同期ニューラルネットワークに周期パルスの学習を
行なわせてみる。
ここで学習する動的細胞集成体は図6.4の様に結合する。
信号の到達時間 はランダムで決定する。
またニューロン の閾値は2が望ましいが、閾値を2とするとニューロン
からと外部からの信号が完全にタイミングが合わなければしなければ発火しないので、
この値は2未満の数字とする。
この同期ニューラルネットワークに一定の周期のパルスを入力し、
出力と信号の到達時間 の変化を見る。
学習が終ったら確認のため、様々な周期のパルスを入力し、その結果から
学習したか否かを判断する。
図6.5〜6.12
は図6.4の同期ニューラルネットワークにおいて
信号の到達時間を6〜24の間にとり、周期10の信号を学習させ、その後さらに
様々な周期の信号を入力した場合の入力と出力の関係を示す。
また、図6.13は信号の到達時間
の変化を示す。
図6.5〜6.12をみると、 第5章の結果と同じ様に、 入力が10と5の場合のみパルスが出力されている。 これは第5章の結果と同様であるので、 この同期ニューラルネットワークは入力された 周期パルスを学習したと言える。
同期ニューラルネットワーク内では図6.13の様に
信号の到達時間が変化して、周期10の信号に反応する様になっているのであるが、
これをみると、 の初期値が6〜15の間では
時間が経つにつれて10に収束し、
の初期値が15〜24の間では
20に収束している。どちらの場合も、
がある程度収束するとパルスが
出力される様になる。
これは信号の到達時間
を変化させパルスを出力させる様にする際に、
発火するのに必要な信号の到達時間の値の中で、最も近い値に収束する様に
変化するためである。信号の到達時間が20の場合でも、周期10の信号に
反応して発火することは第5章より明らかなので、より近い方へ収束
したのは当然のことと言える。
図6.14は学習の速さを変えた場合の信号の到達時間の変化を示す。 この図より学習の速さが大きいほど速く収束していることがわかるが、収束してからの 振動の幅も大きくなっていることがわかる。これは信号の到達時間の変化量が 大きいためであるが、この振動の幅があまり大きいと信号の到達時間の値が 大きく変動し、この値がある限界を越えるとパルスを出力しなくなってしまう。
外部からの入力の周期は整数であるので外部入力を参照する場合は図6.2
の様にはならず図6.1の様になる。ここで閾値が とすると、
ニューロン
が発火するためには、ニューロン
からの信号によって
残り0.6分の入力が必要である。そのためには図6.15の範囲を
参照する様な
の値でなければならない。外部入力の周期は10であるので
、これを満たす
の値は9.6〜10.4である。
しかしここで閾値が
だとすると、
ニューロン
が発火するためには、ニューロン
から残り0.8だけの入力が
必要である。これを満たすには図6.16の様に
は9.8〜10.2の間でなければならない。
このように閾値が大きいということは、発火出来る信号の到達時間の値の幅が 小さいということである。ここで信号の到達時間の変化量が大きいと、 仮に一旦収束した様に見えても、発火出来る限界幅を越えてしまう可能性がある。