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6.3 各学習法の比較

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図 6.5: 学習パターン 6個
図 6.4: 学習パターン 3個

それぞれの学習法の比較として、ノイズを入力パターンに負荷して学習した時の、ネットワークの学習成功率を測定した。学習成功率はノイズをランダムに変化させ学習を行なった時に全てのパターンの学習に成功した割合である。学習に成功したかの判断には、学習後のネットワークの結合荷重値をホップフィールドネットに与え、ノイズなしのパターンを入力したときに正しいパターンを想起できるかで判断した。

6.46.5はパターンを3個と6個学習しているネットワークでの学習成功率を示している。図6.4ではそれぞれの学習法の学習成功率はほとんど同じであった。図6.5より学習パターンが増えると学習成功率は低下する。長名らの広域的な学習法では、入力パターンにノイズがなくても6個のパターンを全て学習することができなかった。これは広域的な学習法の結合荷重の変化は tex2html_wrap_inline1570 ずつで相関学習であるのに対し、局所的な学習法の結合荷重の変化は tex2html_wrap_inline1572 ずつであるため、結合荷重値を0.05ずつ設定でき、より細かく結合荷重値を設定できるためである。また相関学習は一度に全ての結合荷重を変化させるが、局所的な学習法では学習条件を満たしているニューロンの結合荷重のみが変化し、変化の必要がないニューロンの結合荷重は変化しない。そのため、そのパターンを学習するうえで最も良い結合荷重値に近付くことができると考えられる。これより、相関学習による結合荷重の変化より、本学習法による結合荷重の変化の方がより良い学習ができると考えられる。

本研究の学習法としきい値学習法では、本研究の学習法の方が6個のパターンを学習する時の学習成功率が高い。これは、しきい値学習法はニューロンの内部状態の学習のしきい値をある値に決めてやらなくてはならず、その最適値は実験的に決めるしかない。最適値はパターンの数・ニューロンの数・パラメータなどにより変わるため、しきい値を最適値にするのは難しい。本研究の学習法では学習条件にしきい値がないため、パターンの数・ニューロンの数・パラメータなどが変わっても学習条件を変える必要はない。



Deguchi Toshinori
Wed Jul 12 09:07:09 JST 2000