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内部記憶をずらした場合

今度は内部記憶層の値に第一音目での内部状態を用いるのではなく, 想起過程の2音目,3音目の内部状態を入力していって想起させることを試みた。 その結果,想起された時系列の位相のずれは, 図 6.4 のグラフに示される結果となった。 横軸は 内部記憶層の値に想起過程の第何音目の内部状態を用いるかで, 縦軸はその時の想起の位相のずれである。

   figure296
図 6.4: 内部記憶値の変化に対する位相差

この結果と,図 6.3 の入力をずらした場合に生じた想起の 位相差の結果比べてみる。 入力をずらした場合では,ネットワークによって位相差がプラスに多い かマイナスに多いなどの特徴が出ていた。 だが,内部記憶をずらした場合はどれも位相差にばらつきが出ている。 また両図(b)のネットワーク2で実験した結果に注目してみる。すると, 入力のずれに対しては位相差0が多く,このときのずれの分だけ内部状態をずらした時 には,そのずれの分だけ位相差が存在していることが多い,ということがよみとれる。 このことより,このネットワークは想起において入力をほとんど無視して 内部記憶だけで想起の判断を行っていると考えられる。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月19日 金曜日 16時33分51秒 JST