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時系列についての総合的な予測

図 4.3: 4日前の天気から距離関係を評価する場合
\includegraphics[height=100mm]{backforecast.eps}
4.1項で述べた気象予測手法では、予測の段階で利用した記憶が予測日の前日のみであることから、十分な知識や記憶を使わない予測をしている可能性がある。この前日のみの競合層上の距離によって評価する予測を、数日前からの競合層上の距離によって評価し、総合的に近いニューロンを選択するように変更することで、選択したニューロンにラベル付けされている日の翌日の天気が予測天気と同じ天気パターンに属する可能性が高くなり、より信頼性の高い気象予測が可能になるといえる。これは4.2.1節で述べた手法が競合層の空間的な考慮を行っているのに対し、競合層の時間的な考慮を行っているということができる。

例として、図4.3に2009年8月1日を予測するときに4日前から距離関係を比較し、最適な日付を選ぶ場合の処理手順を示す。7月31日の観測データを入力したときに最も強く反応したニューロンに最も近いラベル付けされているニューロンの日付が6月3日と6月25日であるとすると、それらの4日前にさかのぼって対象の日付との距離を求め、その総和が小さい方の日付の翌日の観測データを予想天気とする。この図の場合だと6月3日の場合は総和が21、6月25日の場合は総和が11であるため、6月26日の観測データを予想天気とすればよい。本研究ではさらに予測日に近い日の天気の関連性を重視し、式4.1のように近い日のニューロン間の距離に大きな影響を与えるようにした。ただし、予測する日を$N_a$、日付$n$のラベルが付けられているニューロンの競合層における位置を$P(n)$、予測天気とする日付を$N_f$とする。

\begin{displaymath}
N_f = \arg \min_n \sum_{i=1}^N  \{(N-i) \cdot \vert\vert P(N_a - i) - P(n - i)\vert\vert)\}
\end{displaymath} (4.1)



Deguchi Lab. 2011年3月4日