: 安定性と可観測性
: sysconh16
: リアプノフの安定性理論
対象とするシステムを線形システムに限った場合には,リアプノフの安定性理論から次の結果が得られる.
定理5.6(線形システムに対するリアプノフの安定定理)システム(5.1):
の原点が漸近安定であるための必要十分条件は,にんいに与えられた正定行列
(
)に対して
 |
(18.1) |
となるような正定行列
がただ1つ存在することである.
証明 十分性を示す.(18.1)を満たす
が唯一存在すると仮定する.
このとき
ととれば
は正定で,かつ
であるから
はリアプノフ関数であり,明らかに
は負定関数であるから定理5.5より原点は漸近安定である.
必要性を示す.システムの漸近安定性より入力
におけるシステムの解
は時間と共に
に収束する.したがって,任意に与えられた正定行列
に対して
 |
(18.2) |
により有限な正定行列
が定義できる.また
であるから
が(18.1)式の1つの解である.さらに(18.1)式を満足する任意の解
に対して,(18.2)式より
となるので,
が(18.1)式のただ1つの解であることが示された.
この定理において重要な点は,線形システムについては,リアプノフ関数を(18.1)式により求めることができるということである.
例5.7 システム
の安定性をリアプノフの安定条件を用いて判別する.正定行列
として
を取り
とおくと,(18.1)式より
が得られ,
,
,
となる.これより
となる.さらに任意の
に対し
より,
は正定行列である.よってシステムは漸近安定である.
endo
平成16年6月30日