定理6.2 システム(20.1)が,状態フィードバック(20.3)によって(実軸について対称な範囲で)任意の極配置が可能なための必要十分条件は,対が可制御なことである.
(証明) 十分性を示す.
システム(20.1)が可制御であれば,定理3.6により,対を適当な同値変換
を用いて可制御正準形
に変換できる.以下では表示の簡単のため,
(2入力)で可制御性指数が
の場合についてのみ証明を行なう.ただし,一般の
及び
の場合にも全く同様に証明できる.
より,
は教科書p.51より
必要性の証明は省略する.
多入力システムに対する極配置のための状態フィードバック則を求める1つの方法は,上の定理の十分性の証明で用いた方法である.すなわち,適当な同値変換によって可制御正準形
に変換した後,希望の極配置を実現するための状態フィードバックゲイン
を求め,最後に逆変換
によって,もとのシステムに対する状態フィードバック制御則
を定める.
例6.3 例3.7のシステム,すなわちが
極配置のための状態フィードバック則を求めるもう1つの方法として,疋田らの方法がある.これは希望する極配置の与え方に少し制約があるが,計算が容易な方法である. 以下にこれを説明する.
疋田の方法 希望する極
が,もとのシステムの極(
の固有値)を含まず,入力の次元
に対して
重極を越える重複極はもたないという制約を満たすものとする.
例6.4 システム
例6.5 例6.4と同じシステムに対して,極を
に設定する状態フィードバックを求める.